罪はたち あまり みっつ ページ25
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はぁーー、と長い溜息を吐いた五条は「もういい」と冷たい声色で言葉を放つ。
思わずビクリと肩が揺れた。情けない、けど、でも…
(キレ、た?)
思えば五条のこういう反応は初めてだ。
今までも口喧嘩は沢山してきたけど、今回は突き放し過ぎたかもしれない。
何を言われるか、何をされるか。
ぎゅっ、と机の下で服を握る。
言うべきかもしれない。でも、私の口から甚爾さんのことは言えない。そもそも言う必要がない。
黙って私を見ている五条が、今は怖かった。
「自分で探す」
『……………………え?』
急に口を開いた五条にびっくりしながら首を傾げる。
『……なにを?』
「オマエが今日一緒に居た奴」
『いや、だから、』
まって。自分で探すって言った?なんで?
五条はまるで執着しているかのように彼を気にしている。
もし本当に探して、見つけたらどうなる?五条は一体なにをするつもり?
大したことにはならないかもしれない。それでも五条家に__いや、禪院家にバレることが問題だ。何より面倒臭い!
「そもそもさぁ、」
五条が立ち上がる。私の前まで来た五条は、机に手を着いて私の顔を覗き込んだ。
あおい、青い眼が私を見る。
その眼に私の真紅な眼が映っていた。六眼に反射するようにキラキラと輝いて。
「俺が座ったとき、椅子に人の温もりが残ってた」
『…………』
…あぁ、なんだ。
「オマエがいくら "誰も居なかった" なんて言っても、それは嘘をついてる…まぁつまり」
五条は最初から
「誰かが居たっていう俺の確信を強めるだけだったんだよ」
___気づいた上で、私に聞いていたのか。
『っ、』
五条が私の手を取る。普段は絶対にしない、その優しい手つきにゾッとした。……私の顔、青ざめてるんじゃないかな。
目線で五条を見上げれば、彼は口元だけ笑っている。その表情から本気具合いが伺えた。
「家まで送ってやるから、帰ろう」
まるで恋愛ドラマの一場面みたいに口調だけは優しかった。
怒ってるのかどうかさえも分からない。顔を見れない私は視線を下げたまま弱々しく頷く。
ただ…さっき見上げた時の五条の目は酷く歪んでいて、
_逃がさないとでも言っている様だと思った。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時