罪とお あまり やっつ ページ20
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近づいて来た五条は私の言葉に苛立ったようだが、それでも距離を取る私に近づいてくる。なんでよ離れて。
『ちょっとやめて』
「なんで」
『誤解されるでしょ』
ジリジリと隅の方に追い詰められてしまい、『五条も聞いてたでしょ、婚約者とかいうやつ』と焦りながら言葉を続けた。
『変な噂でも流されたらどうするの』
私達がそういう関係じゃなくても、わざと言う人だっている。後で「オマエのせいだ」とか言われても責任取れないから。
「噂になって不都合あんの?」
『は?』
何言ってんの?不都合しかないけど。
余裕たっぷりに笑っている五条を困惑の目で見つめた。
噂が立つのは五条にとっても不都合なはずなのに、笑ってるのがムカつく。
『逆に無いと思う?』
「俺と噂になれるんだから光栄に思えよ」
あー…なるほど、そういうことね。
理解ー、と若干遠い目をする。五条のこういう所、本当ブレないよね。
『ごめん全然思えない。むしろ願い下げ』
「はぁ?……贅沢なヤツ」
君もね、という言葉は呑み込む。言ってしまったが最後、自慢が始まるのだ。
前に一度、皮肉のつもりで『恵まれてるね』類のことを口にしたことがある。
その時五条は「当たり前だろ、俺なんだから」などと自分のこと、術式をペラペラ話し始めた。
術式を他人に言わない私としては、よくもまぁペラペラと…といった感じだったが
今思えば、強者故の自信というか…私に話しても問題無いと思っていたからこそ話したんだろうなぁ、と。
その自信も、妬ましい。
「で、誰探してんの?」
五条の声で思考が現実に戻る。最初の質問に戻ったようだ。
『……会いたい人』
関係ないと言おうとして、それを言ったところで五条はまた聞くだろうと思い、そう返した。
ら、五条はなにやら不機嫌になる。
「誰それ、女?男?」
『そこまで答える必要はな…い、』
無言。
五条は無言で私を見ている。
しかしその目の「言え」という圧力が凄くて、私の言葉は最後たじたじになってしまった。
なんで?ちょっと前までそんな圧力のある目じゃなかったのに。
確かに中学生になって同じくらいだった身長も私より少し高くなったし、顔も少し大人びた。
けど、たったそれだけ。
私より少し上なだけなのに。何この威圧感。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時