罪とお あまり ひとつ ページ13
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……なんで、放っておいてくれなかったの。
『………ごめん』
ありがとうって言うべきかな。
五条は手を離して汗を拭い、眉間にシワを寄せる。
「オマエ、変だぞ」
『……………………うん』
私も思う。変だって。
普段は五条に声を荒らげたりしないし、こんな風に意味も分からなく怒ったりしないのに。情緒不安定っぽいよね。
それになんだか頭がクラクラする。いつまでも息が整わない。酸素不足かな。
こんなに息吸ってるのに?おい酸素仕事しろ。
「……もしかして」
私を見つめていた五条は呟いてから私の額に手を当てる。
ひんやりとして……はいなかった。
早歩きどころじゃなかったよね、体温あげちゃったよね。ごめん。
「あつ…い?……オマエのせいで分かんねぇ」
『ごめん…』
五条にも言われたので反省している通り謝れば、困った顔をされた。
今日は新しい顔をよくするな。普段ならそんな顔見せないのに。
「…素直に謝んな、調子狂う」
いや私だって謝るときは謝るぞ。
あぁ、それより、屋敷まで後どれくらいだろうか。
『ほんと、ごめ___』
ぐらりと視界が傾く。
「っえ、ちょ、」
五条の焦った顔が映った。
どうも、屋敷まで持ちそうにない。
❀❀❀
気を失ったAを支えて、五条は困惑した。
「……………………まじ?」
これは、自分に運べと言うのか。
コイツを?
恐らく熱があり、倒れたAが自力で歩くなど不可能。抵抗があるが運ぶしかない。
今の状態のAに這ってでも自分で帰れと言うほど五条も鬼ではなかった。
だがしかし、困ったものだ。
五条はAの元を訪ねる時はいつもお忍びで勝手に行く。
まぁ、五条家の自分が一人で外出できるはずもなく、お付きの者が隠れてついて来るのだが。
今日に限って。
今日に限って、五条は本当に一人で来ていた。
故に、助けてくれる者は居ない。そしてAが最短距離を選んだせいで人通りも無い。
「(……やるしかない)」
五条はため息をついてからAのランドセルを背負い、Aを横抱きにする。
「おも……」
自分がこんなことをしてやるのはコイツだけだ。
……あれほど見下しているのもコイツだけだが。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時