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おれはいつも、無意識にあの笑顔を探していた。
分からない。好きかどうかなんて二の次で、それよりも彼女に笑っていて欲しいと思うこの気持ちは、嘘じゃないのに。
「それが好きってことなんじゃねーの。」呆れたように三好は呟く。
その言葉が、おれに届くことはなかったけど。
「(あ、)」
数メートル先にいる彼女の瞳がゆっくりとこちらを向く。
そのままぱちりと視線が合うと、彼女は眉を下げて少し照れたように、でもとても幸せそうな顔で微笑んだ。
その見蕩れてしまうほど綺麗な笑顔に思わず目を逸らす。
そんなおれの行動が、三好には恋心を抱いているように見えたようで。
「なんだ、ちゃんと香椎のこと好きじゃん」
「いや、そういうのじゃ、」
そういうのじゃない。最後まで口に出した時、ふと教室の窓が目に入る。
朝から動かない雨雲のせいで外は暗く、窓ガラスは教室内の風景をよく反射していて。
そこに映っていたのは、間抜けな顔の自分と、そんな自分の口から漏れる黒い煙のような何か。
バッとそこから顔を背ける。
＿＿＿おれは今、何に嘘をついた？
それを理解した途端、珍しく心臓が大きな音を立てた気がして。
ずっと分からなかった彼女への素直な気持ちは、きっとその時明確になったのだと思う。
「うわ、」
「？どした空閑？」
思わず頭を抱えて机に伏せると、「おはよう空閑」と聞き覚えのある声が耳に届く。
「三好もおはよう」
「三雲〜、空閑がなんかおかしくなっちまったよ〜」
「お、オサム」
「……？
空閑が赤面するなんて珍しいな……？」
「言わなくていいって……」
おれはどうやらちゃんと彼女のことが好きだったらしい。
サイドエフェクトでそれに気が付くなんて、情けないにも程がある。
でもそれに気付けたからこそ、もうあんなことで不安に思うこともないから。
おれはゆっくりと顔を上げて立ち上がる。
「……ちょっと行ってくる」
「お？愛しのハニーのところか〜？」
「三好、あんまり茶化すな……」
今、この嘘偽りのない気持ちをちゃんと言葉にして伝えに行こう。
きっと彼女も、それを待っているはずだから。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
7月×日 天気：雨
その嘘が好きの証明。
ｰ喜雨ｰ きう
日照り続きの後に降る雨。恵みの雨
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ピンス(プロフ) - 待ってます‼︎ (11月23日 20時) (
レス) id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
藤丸(プロフ) - ピンスさん» ありがとうございます！これからもお楽しみいただけるよう頑張ります。 (11月15日 22時) (レス) id: ad8b4578d9 (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - ワートリの短編集好きなので楽しみにしてます！ (11月14日 22時) (レス) id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤丸 | 作成日時：2023年4月11日 23時
