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『あの……』
『あﾞ？』
『ひい』
そうやって周りがオレから距離を取る中、わざわざ話しかけてくる奴がいた。
怪訝な顔をしながら振り返ると、不安気な顔でこちらを見つめる女と目が合う。
サッとオレから目を逸らしたそいつは、上下に小刻みに震えながらオレに何かを差し出してきた。
『ささささっき、ごごご5円足りないって言ってたので、』
これ良かったら、とそいつはオレの手のひらに5円玉を乗せる。
突然のことにぽかん、としていると、目の前の女はダラダラと汗を流して狼狽え始めた。
『い、いらなかったですか、』
『……いや、助かった』
貰った5円を追加し再度ボタンを押す。
ゴトンと落ちてきた飲み物を取り出してもう一度礼を言うと、そいつは照れくさそうに頬を染めた。
『えと、その服、どうしたんですか？』
『あー、田んぼに落ちた』
『シャワーとか浴びた方がいいんじゃ……』
『空いてなかったんだよ』
『えﾞ』
それを聞いて微妙な顔をするそいつにオレは首を傾げる。
『その、すぐ空けるんで良かったら今から行きませんか……』とシャワー室のある方を指さして、そいつは困った顔で笑った。
･
『失礼します！！』
『あっ、おい、』
シャワー室に着いた途端、そいつはいきなりバーンと入口のドアを開け放つ。
仮にも使用中なのだから開けるのはまずくないか、と止めようとすると、そいつは『わたしに任せて！』と言わんばかりの表情でオレに親指を立て、奥の方へずんずんと進んでいく。
しばらくして戻ってきたそいつは、『ご迷惑をお掛けしました』と一言だけ呟いて、空いたシャワー室をオレに勧めた。
『中の人はどうしたんだよ？』
『追い出したのでおーるおっけい！』
『横暴だな……』
ふっ、と笑みをこぼしたオレにそいつはきょとんとする。
その間抜けな顔を見ていると、今までのイライラが少しだけ和らいだ気がした。
『ありがとな。なんかおまえのおかげで元気出たわ』
『えっ、どこに元気になる要素が……？』
『ったく、感謝してんだから素直に受け取っとけよ』
それを聞いてぎこちなく微笑んだそいつは、次にオレがシャワー室から出た頃にはもう居なくなっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『ちょっと穂刈先輩、シャワー室長い時間占領するの迷惑だって言ったじゃないですか！！』
『そんなに時間経ったか？オレが入り始めてから』
『もう軽く2時間超えてますよ！！』
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藤丸(プロフ) - 闇まんじゅうさん» 1ヶ月もお待たせしてしまい申し訳ございません。こんなに長文でコメントいただけるなんて、嬉しくて涙が出そうです(泣)相変わらずの気まぐれ更新ですが、これからもどうぞお付き合いください！改めてリクエストありがとうございました！ (8月18日 22時) (
レス) id: ad8b4578d9 (このIDを非表示/違反報告)
闇まんじゅう(プロフ) - こんなに素晴らしい菊地原をありがとうございました！！！！！！！！！！！！コレからも愛読させていただきます！ (8月18日 14時) (レス) id: a2e3403032 (このIDを非表示/違反報告)
闇まんじゅう(プロフ) - ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございます！！もうなんだかんだ言って友人に優しい菊地原が見事に表現されていてめちゃめちゃ嬉しかったです！！！読みながら思わず「かわいっあーーーかわいーー」って言ってしまいました… (8月18日 14時) (レス) @page43 id: a2e3403032 (このIDを非表示/違反報告)
藤丸(プロフ) - 闇まんじゅうさん» これ本当に面白いんか……？って不安になってたのでめちゃくちゃ嬉しいです(泣)ｷｸﾁﾊﾟﾗくん、承知致しました！のんびり書き進めて参りますので、どうぞ気長にお待ちください〜！ (7月2日 16時) (レス) id: ad8b4578d9 (このIDを非表示/違反報告)
闇まんじゅう(プロフ) - 今日初めて見つけて一気読みしました！とても面白かったです！リクエストなのですが菊地原と絡ませていただく事は可能でしょうか…？ｱｯ､いや全然！できればでよろしいので！はい！ (7月2日 10時) (レス) id: a2e3403032 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤丸 | 作成日時：2023年3月15日 0時
