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「…ったぁ」
起きると、寝室はいつも通り抜け殻になっていて、太輔は家にいなかった。
翌日も休みもらっていた俺は、目覚ましをかけず昼頃まで眠っていた。
久々に睡眠薬なしで眠れた日だった。
それは本当ならいいことなはずなのに、俺の体はただ疲れ過ぎただけだった。
至る所に痛みは残り、頭はズキズキと痛む。
長く眠ったはずなのに、よく眠った感覚もなく、体は疲れたままだった。
昨晩のことから、そのまま眠ってしまったから、とりあえずシャワーだけは浴びようと、気力だけを振り絞ってお風呂に向かう。
シャワーを浴びていると、振り向きざまに鏡に少し映った自分の背中が少し見えた。
なんとなく気になって、しっかり見てみると、無数の痕が背中に残されていた。
太輔は俺を俺だと思って抱いてくれていたのだろうか…そんなわけないか。
きっと太輔は、抱いたのが俺なのかどうなのかとか以前に、何も覚えてなんかない。
だから俺も、昨晩のことはなかったことに…そして、記憶をも洗い流すようにシャワーを浴びた。
体のことがどうでも良くなるくらい、心がしんどかった。
お風呂から上がって、冷蔵庫を開けて水を取り出す。
横尾さんが置いていってくれたものがたくさん目には付いたが、手を伸ばせなかった。
ここ最近は、入院をしないため…仕事を続けるためだけを思って、最小限のご飯は食べるようにしていた。
でも、今日だけは本当に何も食べたくなかった。
起きていても、色々考えてしまって辛いだけ…
明日からはまた仕事がある。仕事があれば、まだ紛れる気はするけれど、1日家にいる今日はもう眠っていてしまいたかった。
空っぽの胃に、頭痛薬と睡眠薬を水で薬を流し込む。
寝室に向かって、いつも通り広すぎるベッドに寝転ぼうとすると、昨晩の光景が浮かび上がってきた。
「…うっ…たい…すけ…っ」
またどんどん涙が流れ、膝から崩れ落ちる。
ベッドからなんとなく太輔の香りがした気がして、昨晩太輔が寝ていた位置に潜り込む。
掛け布団を抱きしめるように、泣き続け、俺はいつの間にか眠りについていた。
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櫻弓 想(プロフ) - yuzu_さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただきありがとうございました! (2021年9月8日 1時) (レス) id: 6f25ef5bcc (このIDを非表示/違反報告)
yuzu_(プロフ) - とても面白かったです!ありがとうございました! (2021年9月8日 1時) (レス) id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - ふみさん» コメントありがとうございます!予定より長引いたのと、ずっとほとんど病系だけを書いてきたので、ラブラブシーン的なのは書くのが苦手であまり書けないんです…(笑)申し訳ありません汗 最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました! (2021年9月8日 0時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - こんばんは、完結おめでとうございます。毎日更新楽しみにしていたので終わっちゃうのは寂しいですがlast良かったです!!…その後もうちょっとラブラブな2人の話も見たかったです!! 笑。素敵な作品をありがとうございました。 (2021年9月7日 23時) (レス) id: 1827b6c1cf (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - . 柊月さん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉感謝すぎます( ; ; )もうすぐ終わりに差し掛かりますので、更新頑張ります! (2021年9月6日 20時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2021年8月26日 23時