英雄から十歩 ページ11
『ゔぇぇぇっ……ゲホッゲホッ……ゴホッ』
結局私はお粥を(無理矢理)食べ(させられ)、それを全部吐き出している。
喉を通っても、胃が馬鹿になっているらしく、消化がほとんどされていない食べたまんまのお粥が吐き出された。
「あーあー見事に全部吐いちゃって。まぁ仕方ないか」
吐いたせいで涙目になりながらもゼェゼェと荒くなった息を整えつつ、訴えるように奴を睨みつける。
「ねぇその顔、煽ってんの?じゃなかったらやめたほうがいいと思うけど」
『はっ?煽って?ゲホッ、この状況でっコホ、何考えてんの?』
「状況なんか関係ないよねぇ……。
でもそのまま何も食べられないと死んじゃうよねぇ……うーん……出来ればあいつに頼みたくはないんだけど……君が死んじゃうよりはまし、かなぁ」
奴はブツブツと何かを考えているようだった。
私にはなんのことか、さっぱりわからなかったが。
「しょうがないか……。
このあと、医者を呼んでくるから。腕は確かなんだけど、ちょっと……いや、かなり変人なんだよねぇ……。ま、そいつはだいたいのことは知ってるし、それなりに強いから」
『医者……か』
医者にかかるのは何年ぶりだろう。
まだ未熟だった頃は何度も通った。
よくお世話になった人がいたんだけど、今回の戦争の引き金となった、三年前の冷戦のゴタゴタに巻き込まれて行方知らずになってしまっていると聞いた。
いい医者だったと思う。
親身になってくれたし、私の身を一番案じてくれていた。
少し変わったところがあるにはあったが、その陽気でおおらかな性質で常に周りには笑顔が絶えなかった。
「そ。医者。
呼んでくるまでいい子で待っててね?」
そう言い残して奴は再び出て行った。
───────………
『どうしたもんかなぁ……』
奴が出ていってから、これは好機と思い、私が普段から常備していた、小型の通信機等を探ってはみるものの見つからない。
『隊長……』
今頃隊のメンバーは私を探してくれているのだろうか。
もし、もしもこのまま、ここから出られないとしたら、身体が動く限り、奴と戦わされるのだろうか。
奴の、暇潰しの玩具になるのだろうか。
『そんなの、あんまりだ……』
出来れば御遠慮願いたい。
いや、出来なくとも、ここから逃げ出したい。
どうすれば……?
そうして私は、奴から逃げるために色々な方法を模索しはじめる。
To Be Continued
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こんにちは - とても面白いので更新期待してます……よろしくお願いします! (2022年8月29日 18時) (レス) @page15 id: 561b81e9d3 (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - ここさん» ありがとうございます。私情でしばらく筆を置いてしまい、お待たせしてしまっています。これから更新していこうと思っていますので良ければ気長に待って貰えると嬉しいです。 (2020年2月9日 8時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - とても面白かったです(^-^) 更新をお願い致します!! (2019年12月29日 2時) (レス) id: 9ab82a9f0f (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - あかさたなさんさん» 嬉しいコメントありがとうございます。遅筆ですが自分なりに頑張っていきたいと思います。励みになります。 (2019年10月6日 19時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
あかさたなさん - お話面白かったです。これからも頑張ってください。 (2019年10月6日 16時) (レス) id: e7421af52a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あの。 | 作成日時:2019年3月23日 16時