sideへし切長谷部 其の弐 ページ6
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その審神者は今までのそれとは違った。
何もしないとの宣言通り、俺たちに直接何かをすることはほぼほぼなかった。
ただ、1度だけ、此処の本丸の刀剣を全て集め、広間で話したことがあった。
『収集に応じてくださりありがとうございます。この度お集まり頂いたのは、ある提案をしたいためです』
｢提案？｣
燭台切が復唱する。
審神者はそちらを見やり、1度、相槌を打つ。
『そうです。皆様はきっと、私を追い出したいと思いでしょうが、実はこの本丸は、これ以上審神者が定まらないと、解体されてしまう恐れがあるのです』
｢解体、ですと……？｣
一期一振が信じられないといった様子で目を細める。その様は、審神者を見定め、威圧する様にも見て取れた。
審神者は少し怯んだようだが、すぐさま弱みを見せまいと、持ち直し、続けた。
『ええ、はい。ですから、私が、2ヶ月の間何もしない代わりに、皆様も、本丸を守る為にも、私を此処に置いておいて欲しいのです』
反応は、多種多様だった。
怪しむ者、思案する者、睨みを利かせる者、目を丸くする者、我関せずな者……。
審神者は、心底興味が無いといった様子で様々な理由から集まる視線を華麗に流していた。
｢何故、2ヶ月なんだ？｣
広間のほとんどの視線が自分に集まるのを感じた。
返答を促すように審神者を見れば、盲点だったと言わんばかりに手を打った。
『給料が貰えるのが2ヶ月間此処で過ごしたの場合のみだからです。ああ、いや、給料は月に一度ですが、ブラック本丸の後任の場合、2ヶ月間働くとボーナス、追加報酬が貰えるので』
大半の者が呆れ、または憎しみの篭った視線で審神者を見た。
だが審神者は気にしていない様子で飄々と続けた。
『それから此処の本丸で、何も無かったです、此処はブラックじゃなくなりました、という報告の証明として、2ヶ月間私がここで過ごす必要があるからです』
それを先に言え。
そう思ったのは俺だけではなかったようだ。
多くの者が、阿呆を見る目で審神者を見ていた。
ここに来た理由は？お金が必要なんです。side審神者→←やんでますか？……審神者が嫌いです。sideへし切長谷部
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作者名：あの。 | 作成日時：2019年2月9日 17時
