side審神者 其の弐 ページ17
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｢っ！あぁ、すみません、今行きます｣
そう言って手入れ部屋に入り、一期一振さんは後ろ手で障子を閉める。
『ではここに』
ぽん、と畳の上を叩くと警戒しながらこちらに来る。
｢失礼します。ところで私は手入れされるのは何番目なのでしょうか｣
『二番目ですよ。一番は三日月宗近さんでしたね。次は部屋を回って見て、変更がなければ大和守安定さんの予定です』
｢そうですか。……では予定を変更して弟達を先にしてもらっても？｣
何故そんな質問をするのか、気になったので尋ねてみた。
『理由をお聞かせ願えますか？』
｢いえ、あなたが何をするかわからない以上、私がせめて弟達の手入れの間を監視し、悪意の有無を確認せねば、と思いまして｣
成程、可能であるなら私の潔白も証明できるだろうし、なかなかに良い提案だ。
『えぇ、構いませんよ。……ただ、可能であるなら、ですが』
彼は整った片眉を上げた。
｢可能であるなら？｣
『はい。手入れ部屋に同伴可能かどうかはやってみないとわかりませんので』
｢流石は初心者審神者を名乗っているだけありますな。ボロが出ない｣
何を言っているんだこの爽やかイケメンは？
『……は？』
呆けたような、思わず、といったふうにするりと言葉が漏れた。
｢どうせ貴女も政府から寄越された、対ブラック本丸専門の審神者でしょう。ここ2、3人はそんな風に名乗っていましたし。技量を詐称したところで何かが変わるわけでもないでしょうに｣
彼は皮肉気にそう言った。
『対……ブラック本丸……専門の審神者……？』
なんの事だ。そんなものがあるのならば私がここにいる意味は無いだろうに。
あぁ、そういうことか。
『つまり貴方方は、私がその対ブラック本丸専門の審神者とやらだと勘ぐり、それを暴こうと躍起になっていると？』
だからこその手入れ、か。
審神者としての練度と、技量の見極めが目的か。
｢いえ、これは私と弟達のみの考えですな。まぁあるいは三日月殿も……」
『成程、だから他の方々は手入れを受けてくれなかったのですね。ということは農具小屋で会った御三方は貴方の弟さんですね』
そう言った瞬間、一期一振さんの目の色が変わった。
｢農具小屋で会った、3人……？失礼、特徴を教えていただけますか？｣
若干ビクつきながら、御三方の特徴を並べていく。
『あの、御三方は貴方の差し向けではなかったと……？』
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作者名：あの。 | 作成日時：2019年2月9日 17時
