side審神者 其の弐 (※審神者チート入ります。苦手な方はブラウザバック推奨※) ページ12
.
畑まで行くと、一面雪景色だった。
『あちゃー、これは雪かきからか……』
加州が先手を打って言う。
｢俺はやらないよ｣
『あぁうん。わかってるよ。さて、スコップはどこだろうか』
キョロキョロと辺りを見回すと、農具小屋らしき小さな建物が目にとまる。
『ちょっと行ってくるよ』
｢あ、主？俺も行く？｣
加州が少々慌てたように立ち上がる。
『大丈夫だ。スコップを取りに行くだけだから。大した距離じゃないし、何かあればわかるだろう』
そう言うと、加州はすんなりと座る。
｢ま、それもそうか。寒いし寒いから、俺はここで待ってるから｣
ひらひらと手を振り、私を見送る加州。
それを背に私は小屋に向かって進んで行った。
『っと、さて、スコップは……と』
ズカズカと躊躇いもなく小屋を物色していく。
と、奥の方で音がした。
些細な音だ。
余程聴覚が鋭くなければ聴き逃しているほどの。
その音がした方に目をやれば、影が三つ見えた。
顔の横を影の二つが横切る。頭が理解する前に勢いよく振り返り懐から手早く出した小刀で、刀を受ける。
｢｢っ！！｣｣
2人は刀を受けられたことが意外だったらしく、目を見開く。
私は2人の力を流しながら札を取り出し、言霊を乗せる。
瞬間、辺りの時が止まる。
『しくったか。まさかここで出くわすとは……』
ふと、2人しかいないことに気づく。
『2人……？確かさっきは影が三つあったはず……っ！』
ばっと振り返り、小刀を構えたと同時にキィンッと、鉄のぶつかる音がする。
｢っ！……な、なんで気づいたんですか……？｣
おどおどと、しかし力は微塵も緩めずに訊ねられる。
『影ですよ。先程三つあったのに気が付いていましたから』
そう答えて先刻と同様の札を取り出し、言霊を乗せる。
刹那、時が止まる。
｢主っ！？変な音したけど大丈、夫……みたいだね｣
『加州、この方たちをどうしたらいいかな』
刀を構えた状態で止まっている刀剣たちを指す。
｢とりあえず、縛る？｣
『しばる』
飛び出た過激なワードに、思わず復唱してしまう。
｢いや、このまま動きだされたら困るでしょ。主は後で質問攻めにするとして、こいつらを説得させないと｣
てきぱきと縄を見つけ出し、3人の体に巻き付けながら加州は言う。
『いやはや、手馴れていらっしゃる』
｢殴るよ｣
この後こってり絞られたのは言うまでもない。
side審神者 其の参→←畑仕事は順調ですか？……おじいちゃんに邪魔されます。side審神者
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あの。 | 作成日時：2019年2月9日 17時
