チャラ男と地味男の化学反応 (ページ8)

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(F)

ﾌﾞｰｰｰｰｰｰｰ

「鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美しいのはだぁれ？」

「それは、貴方様でございます」

「オーーホッホッホッホッ」

あるお城に美しい女王が居ました。
女王は、毎晩、魔法の鏡に世界で一番の美女を尋ね
それが自分であると確認しては、嬉しそうに眠りにつきます。

そんなある日のことーーー

女王がいつものように魔法の鏡に問いかけると、思っても見ない答えが返ってきました。

「世界で一番美しいのは、雪のような白い肌を持った、白雪姫です」

「なっ、なんですって！！」

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「次、マイコちゃんの番だろ。まだ戻ってこないの？」

「うん…どうしたんだろマイコ…」

劇は順調に進み、マイコの出番が刻一刻と迫る。
マイコが居ないことに周りのみんなは誰も気付いていないようで

渉と俺だけは、冷や汗をダラダラと流した。

「狩人！白雪姫を撃ち殺しなさい！」

「…わっ、わかりました女王様」

(やばいっ、次は白雪姫の台詞だ！)

最悪の事態を想像して、目を瞑ったその時ーーー、

ｷｬｰｰｰｰ！！！

観客席から上がった黄色い歓声と拍手に、思わず舞台袖から目をやった。

「あれ…？マイコちゃん間に合ったんだ」

「………」

そこには、ちゃんと白雪姫の姿があり、渉はホッとため息をついた。

楽しそうに小鳥と戯れる姿、そして、狩人に殺されそうになって哀しむ横顔…

確かにマイコなのに、何故か朝の北山が頭に浮かんだ。

(一体、どうして…)

心に疑念を抱えたままでも、俺は舞台上へと上がるしかなかった。

あれだけ練習した甲斐があって、心ここにあらずともスラスラと出てくる台詞に、合わせて動くカラダ。

特に大きなミスも無く、物語は俺の心だけを取り残して、佳境へと差し掛かったのだった。

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