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(F)
文化祭はクラス別で出し物がある為、北山とは会わないまま1ヶ月が過ぎ…文化祭当日を迎えた。
「ついに本番だねっ！」
「うん。頑張ろうね、マイコ」
「ちょっと、俺の事忘れてない？」
講堂で開会式が行われて、クラス別の列で3人ワクワクを隠しきれず話した。
マイコも渉も、もう楽しそうだ。
でも俺はきっと、そこまで楽しそうな表情じゃないかもしれない。マイコ越しに、何だか寂しそうな北山の横顔が見えてしまったから。
何だか、良くないことが起こるような気がして、胸がざわつき、北山の表情が頭にこびりついて離れない。
(…何なんだ、この胸騒ぎは)
それは次第に、文化祭の波に呑まれて徐々に薄れていった。
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「もうすぐだな、太輔」
「やばい、緊張してきちゃった。どーしよ、わたぁ」
「大丈夫だって」
あれから、マイコと渉と3人で各出し物を周り、メイドカフェやお化け屋敷等…行き着く暇も遊びまくった。
あっという間に楽しい時間は過ぎ、俺達の白雪姫が開演する。
さっきまでは楽しくて仕方なかったのに、今じゃ怖くてしょうがない。間違えたらどうしよう、とか、噛んだらダサいなぁ、とか…
マイナスなことしか浮かばなくて助けを求めた渉は、緊張していないのか呑気にスマホゲームをしている。
(え…渉も出演者だよね？何この余裕…！！)
心底、渉が羨ましくなった。
こんなに渉になりたいと思ったのは、後にも先にもこの時位だろう。
「マイコちゃん遅くない？」
「あ、そーいえば…着替え時間掛かってるのかな…」
「んー…だと良いけど」
開演まであと10分しかない。
それにしても、みんなが慌ててる様子もないし…かと言って確かめに行く時間もない。
結局俺達は動くことは出来ず、開演のベルが鳴った。
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作者名：Fuikky | 作成日時：2018年6月5日 20時
