チャラ男と地味男の化学反応 (ページ1)

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(F)

人と話すのが、苦手だ

いや、正確には大人数で盛り上がるのが、苦手だ。訳のわからないことでゲラゲラと盛り上がり、チャラチャラとところ構わずいちゃつく…

所謂チャラ男やギャルと呼ばれる分類が死ぬほど苦手で、お近付きになど絶対になりたくない

なのに俺としたことが、入る高校を確実に間違えた

家から近いこと、変な噂も聞かないこと、偏差値も高いこと。この3つの点から総合的に見てじっくり決めた高校だったはずなのに…

晴れて迎えた入学式

「続いて、新入生代表の挨拶」

満点を取ったと噂される新入生代表は、さそがし真面目な子なんだろうーーーと、思っていた。
のに、登壇したのは想像からはずーっとかけ離れた

「うぃーす、北山宏光でーす」

ドのつく派手なチャラ男だった。

(ま、まぁ一人くらい、どの学校でも居るよな…)

接点さえなければ大丈夫だ。と余裕振れていたのは教室に入るまで、開けた扉から楽しそうに揺れる金髪がみえた瞬間

思わず後退った

「うわっ！？」

背中に何かがぶつかった感覚。慌てて振り返ると、八重歯を覗かせながら笑う男が居た

良かった、この人は真面目そう。

「俺、藤ヶ谷太輔。ごめんね、怪我…ない？」

「横尾渉です。大丈夫大丈夫！これもなんかの縁だし、仲良くしてよ」

さっそく友達が出来た。

俺より少しだけ背の高い、スラッとした八重歯の可愛い渉くん。渉くんに続いて教室に入って、当たり前のように隣の席に座った。

仲良く出来そうな友達が出来て、ウキウキしてワクワクして、ついおしゃべりが過ぎる

「友達一号が渉くんでマジで良かった！」

「渉でいいよ…ってなになにどゆこと」

「俺も太輔で！いや、俺苦手なんだよね」

「苦手？」

「そう…あーゆーの」

思慮の欠いたことを言ってしまったと気付いたのは、俺が指差した先に、渉の表情が強張ったのを見てからだった。

(もしかしたら、渉と友達かもしれないのに、おれっ…)

けれど、渉は小さく「そーなんだ」と言っただけでそれ以上何も言わなかった。責める言葉も、罵る言葉も。

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