6話目 ページ6
「見ぃたぁなぁ〜。」
二人のところに戻ると剛が私を指さし、ヘラヘラっと笑いかけてくる。
「みっ、見たなって何を！？」
「まぁ…見た通りのお察しの通りだ。」
「源まで？何を言ってるのか「顔が真っ赤〜。」」
源はため息をついて私の頭を撫でてきて、剛は自分の頬を揉んだ。
「俺と剛はこの旅行中に事を起こそうと考えてた。でもそれはA次第で…嫌なら嫌って言ってくれたら良い。」
「そう、無理はいらないよ。Aが大丈夫ならしたいな〜って考えてた「し、したい！？」」
＜したい＞という言葉に反応して体を跳ねさせた私を源は宥めるように肩をポンポンと叩く。
「何も言わなくて、驚かせて悪かった。第一言うにしてもどう伝えれば良いのかわからなくて。」
「…確かにわかんない…よね。」
「俺は言う方が良いって言ったんだけど、デリケートな問題だからって止められちゃって〜。」
「うん、言われてたら緊張で楽しめなかったかも。」
少し落ち着きを取り戻した私はグラスを手に取り、温くなったビールを喉に流し込んだ。
3人の間に重い空気が流れ、何だか気まずい雰囲気…。
…こ、これは…私が「良いよ。」とかって言えば良いのかな？それも変な気がするし、でもこの雰囲気は辛い。えーい、どうとでもなれ！
グラスに半分だけビールを注ぎ、それを一気に飲み干すと立ち上がった。
「A？どうしたの？」
「怒った…か？」
「は、歯みがきして寝よっかなって…。」
私を見上げる二人の顔はきょとんとしていて、それ以上何も言わずに歯を磨いてロフトに上がる。
大きなベッドの真ん中に潜り込み、無数に瞬く星空を眺めて深呼吸をした。
暫くすると階段の軋む音が聞こえ、二人が来た事に気付く。
源は軽く咳払いをして、「A？」と話しかけてきた。
「本当に…良いんだな？」
「…うん。」
「3人でなんて俺らも経験ないから…すっげぇ緊張してんの！」
無理して明るく話してるような剛の声…。
二人は私を挟んでベッドに横になり、そっと掛け布団を捲った。
「やっべ、口から心臓が出そう。」
「…俺もだ。」
交代で私にキスをして、同時に洋服を脱ぎ始める。
下着1枚になった所で左右から伸びてくる手。
スルスルと洋服が脱がされていき…恥ずかしさで目を閉じた。
「怖く…ないからね？多分？」
「はぁ？多分かよ！？」
こんな状況でも言い争う姿に自然と笑みがこぼれてしまう。
部屋の照明が消え…二人は体を重ね合わせてきた。
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作者名：fugurifurifuri0 | 作成日時：2020年12月25日 15時
