23話目 ページ23
「はい、水。」「薬だ。」
帰宅してソファに座った途端、二人に薬を手渡される。
「あ、ありが「飲んだらすぐに寝ろよ。」」
「ちゃんと休んで安静にしとかないとね〜？おーい！」
剛はお腹に話しかけ、耳を当ててにんまりと笑う。
「お、おぉっ！返事した！」
ぼこぼこと赤ちゃんは激しく動き、源もお腹を撫でて「元気か？」と頬を緩ませた。
その後、薬を飲んで寝ていた私は気持ち悪さで目が覚める。
走ってもいないのに動悸がし、手が震えて目眩まで…。
水でも飲もうとキッチンに行くと静かで、二人は出掛けた後だった。
心細くて不安で、ソファに寝転んで久美子ちゃんに電話を掛ける。
「ーはい、もしもし、体調はどう？」
「久美子ちゃん…ごめんね、忙しい「ー大丈夫、何かあったの？」」
夜中に起きた事に薬や今の状態を話すと「今から行くから。」とガチャ切り！
それから暫くすると両手に大荷物を抱えて来てくれ、嬉しくて久美子ちゃんに抱き付いた。
「よしよし、私が来たからもう大丈夫だよ〜。お腹大きくなったね、重いでしょう？」
「うん、重い。」
「よい…しょっ！食料、沢山買ってきたからね。冷凍食品にレトルト…当分は家事はサボってゆっくりしなさい。」
「ありがとう、つい動いちゃって。」
「あのバカ達に家事なんか任せりゃ良いのよ。産まれてきたらあいつらに手を掛ける暇なんか無いんだからね？」
両手で私の頬を包み込み、にっこりと微笑んでくる。
「うん、わかった。」
その笑顔を見て何故か胸がいっぱいになり、涙ぐみながら何度も頷いた。
「ただい…えっ、隊長！？」
「遅い！もっと早く帰って来れないの！？」
「むっ、無茶言わないで下さいよ。これでも早い方だって隊長も知ってるでしょ？」
剛よりも一足早く帰って来た源はキッチンに立つ久美子ちゃんに驚いた様子で話す。
「お帰りなさい。」
「ん、ただいま。って、何で隊長が？」
ハグする私の耳元で小声で聞いてくる。
「あ、それは「あんた達が頼りないからに決まってんでしょ！？早く手を洗って手伝いなさい！」」
「わかりましたよ！今すぐ！」
返事をして舌をペロッと出し、苦笑いを浮かべる源。
「久美子ちゃん、私も何か「何もしなくて良いから寝てなさい！」」
じっとしてるのも退屈で落ち着かなくて、ため息をついてソファに横たわる。
「A〜、産まれたら退屈の有り難みがわかるわよ？はい、味見。」
唐揚げを私の口に放り込み、ウインクをして笑った。
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作者名：fugurifurifuri0 | 作成日時：2020年12月25日 15時
