甘い…生活？２ (ページ19)

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19話目ページ19

「えっと、こちらが星野源さん。こちらが綾野剛さん。お付き合いしている方で…今度赤ちゃんが生まれます。」

「初めまして、星野です。」

「こんにちは、綾野剛です。」

簡単に掃除を済ませ、お花と線香を供えて挨拶をする。

「赤ちゃん生まれたら連れて来るね。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんだよ。あ、久美子ちゃんもげんきにしてるからね。」

3人で微笑み合って頷き、深く頭を下げた。

「とりあえず先にホテルに行く？A、疲れただろうし。」

「そうだな。横になって休んだ方が良いだろ。」

二人は後部座席に座る私に心配そうな目を向けてくる。

「源、ちゃんと前見て運転！私は大丈夫だから。」

「いーや、無理は禁物って先生言ってた！」

…確かに産婦人科の先生にそう言われたけど…寄りたい場所があるのにな～。

「ちょっと寄り道しても良い？」

「寄り道？何処に？」

「ん、ここに行きたいの。」

事前に調べてプリントアウトした紙を剛に手渡した。

「海老と蟹の水族館！？何これ！？」

「飯屋か？」

「違うよ、本当に水族館なんだってば！」

小さい頃に連れて行ってもらった記憶があって、まだあるのなら行きたいと思っていた場所。

派手さは無く、本当に海老と蟹が展示されていて、珍しくて面白かった。

「…ここから20分程で行けるか？A、無理はしてないな？」

バックミラー越しに話しかけてくる源に頷くと「わかった。」と手を挙げる。

「じゃ、レッツゴー！」

「うるさい、叫ぶな！」

「二人ともうるさいよ？」

ポコッと動いたお腹を撫で、流れる景色に視線を移した。

「あれ？綺麗になってる。」

私が来た時は建物が古くて、もう少しこじんまりとしてたような？

車を降りると見慣れない建物になっていて首を傾げた。

「…建て替えたってホムペに載ってるよ。」

剛がスマホの画面を見せてきて、そこにはリニューアルの文字。

「どうする？行くの止めるか？」

「…行く。変わっちゃってるのは残念だけど、3人で来た思い出になるもん。」

二人の手を引っ張り、水族館の入り口へと歩き出した。

「あ、美味そう。」

剛が覗き込む水槽には立派な伊勢海老。

難しい顔をしてる源が覗いてるの水槽にはカブトガニが蠢いている。

「卵は食用…俺は食えねぇな。」

「外国では普通に食べてる地域があるんだ～？」

「うーん、好きな人にはたまらないお味なんでしょうね～。」

剛が食リポのような口調で水槽前に立ち、源と私は吹き出して笑った。