15話目 ページ15
「A！大丈夫！？」
「っ、大丈夫…。気になるから…リビングに居て…。」
「わかった、何かあったら直ぐに呼べよ！」
二人の足音が離れていくのが聞こえ、ため息をつく。
…言わないと…だよね。いつまでも隠せないだろうし、何があるかわかんないんだから。
落ち着くのを待ってトイレから出た私は「話があるの。」とソファに腰を下ろした。
「え、何…怖いんだけど。」
「やっぱり悪い状態だったのか？」
二人は私を挟んで座り、不安そうな顔で見つめてくる。
「あの…ね、驚かないで聞いて「入院とかするの！？」」
「うるさい！Aが話せないだろ、黙ってろ！」
「…痛い。」
源に叩かれた頭を擦り、私の膝に倒れ込んできた。
「ちゃっ、ちゃんと聞いて！真剣な話なんだからね！」
剛は跳ね起き、ソファに正座で座り直す。
「あっ、あ…あの…あ、赤ちゃんが出来たの！」
「「赤ちゃん！？」」
「まだ産婦人科には行ってないけど、今日の病院で妊娠反応は出た…二人とも…大丈夫？」
源は眉間にシワを寄せて固まり、剛は口を大きく開けて硬直状態。
「で、その…私…産んでも良いん…だよね？」
「ちょっと待て、今…赤ちゃんが出来たって言ったのか？」
「そうだよ…源。」
「赤ちゃんって…Aのお腹に赤ちゃんが居るって事！？」
「う、うん…そう。」
暫しの沈黙の後…源と剛は歓声をあげながらハイタッチをする！
「やった、赤ちゃん！」
「俺らもとうとう父親か！」
あまりの喜びように呆気に取られ…大切な事を言い出せない。
…結婚はどうするのか？この子の父親は…？自分の子供じゃなくても可愛がって育てる事が出来るのか…？
「いつっ？いつ産まれるの？」
「あ、近々産婦人科に「俺らも一緒に行く。」」
「一緒に…行くの？…二人とも？」
満面の笑みで大きく頷き、「行く。」と声を揃えて言った。
「見えますか？ピコピコと点滅しているのが心臓です。」
3人で超音波のモニターをじっと見つめる。
「あ、はい。見えま「元気ですか？順調「男の子か女の子か知りたい！」」」
「げ、元気です。大きさも問題ありません。性別は…ちょっとまだわかりませんね。」
先生は半笑いの声で二人の質問に答え、私は「すみません。」と謝った。
診察室に移動して予定日や今後の注意事項の説明を受け、超音波の写真を3枚貰う。
「次の検診の時は母子手帳を貰って、持って来て下さいね。」
先生は「おめでとうございます。」と微笑んだ。
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作者名：fugurifurifuri0 | 作成日時：2020年12月25日 15時
