甘い…生活？２ (ページ14)

今日:6 hit、昨日:7 hit、合計:33,573 hit

14話目ページ14

「よちよち、きれいにちまちょうね～。」

源が赤ちゃん言葉を使い、手をヒラヒラさせて笑いかける。

「えっ、源…？よちよちって…っ！？」

「…お前を笑わせる為に言ってねぇよ。笑うな、バカ！」

バカ！の声に反応して更にギャン泣きしてしまった赤ちゃんに3人で悪戦苦闘を繰り返し…何とかおむつを替える事に成功した。

「美味しい？沢山飲んでね～。」

柔らかい、頼りなげな小さな体を膝の上に乗せてミルクを飲ませる。

喉を鳴らし、一生懸命に飲む姿は可愛くて、源も剛も「美味いか？」「良い飲みっぷり！」と側を離れない。

「あ、今の間にお弁当食べちゃって？」

「やだ、見てた「交代で飯食わねぇとAが食べられないだろ。」」

渋々といった表情で剛はキッチンに行き、私は苦笑いを浮かべる。

…可愛い。小さくて、温かくて…お腹の赤ちゃんが産まれたら、こんな感じなのかな？

空になった哺乳瓶をテーブルに置き、赤ちゃんを肩に抱えて背中を擦ると大きなゲップ！

顔を覗くと蕩けそうな、幸せそうな表情で眠りの世界へと落ちていった。

「助かったよ、本当にありがとう。あ、これ…良かったら皆さんで。」

北さんは赤ちゃんを車に乗せると紙袋を私に渡して頭を下げてくる。

「こ、困った時はお互い様ですよ。変に気を使わないで下さい。」

「俺らも可愛さに癒してもらったんで。」

「うん、赤ちゃんって見てるだけで和む～。」

「…すみません。そう言って貰えたら助かります。」

また頭を下げて微笑み、北さんと赤ちゃんは帰っていった。

「A、部屋に戻ったら弁当食えよ。」

「結局食いっぱぐれてんだから。」

「あ、うん…あんまり食欲無いから良いかなって。」

玄関のドアを開けながら笑うと「病院どうだった？」と剛が頬を撫でてくる。

「っ、あ…つ、疲れで胃がちょっと…って言われたよ。」

「…胃？ちょっとって何だ？」

素直に《妊娠した》と言えば良いのに…何故かはぐらかしてしまい、言葉に詰まる私に源は怖い顔をした。

「本当に…大した事な「ちょっとこっちに座れ。」」

剛に手を引かれ、ソファに誘導されてしまう…。

「何があった？そんなに悪かったのか？」

「えっ、ガンとか「違う！ガンとかそんな病気じゃないよ！」」

「なら何だ？俺らに言えないような病気か？」

…二人の真剣な眼差しを見ていると緊張で胃が…気持ち悪い…。

「ご、ごめ…っ。」

口を抑えてトイレに駆け込み、便器の前にしゃがんで胃の辺りを擦った。