13話目 ページ13
「えっ、だ、大丈…あ、はい！良いですよ！角の白いマンションです。下に着いたら電話下さい！」
ぐったりしていると北さんから電話があって、双子ちゃんと奥さんが熱を出してるから末っ子ちゃんを預かってほしいと頼まれてしまった。
末っ子ちゃんは産まれたばかりで抵抗力が無く、病院に連れて行きたくないからと…。
不思議なものでさっきまで気持ち悪かったのが大変だ〜！と吹き飛び、そわそわとまだ電話もないのにマンションの下に降りた。
「あ、A！俺らを待っててくれたの〜！？」
「あ、剛！違うよ、北さんが大変で「北さん？あぁ、同僚のか？」」
源は顎に手を当て、小さく頷く。
暫くすると車が前に止まり、大きなカバンと赤ちゃんを抱いて北さんが降りてきた。
「ごめんね、Aちゃん！あ、私、Aさんと「挨拶は良いですから早く病院に行って下さい！」」
「う、うん、ありがとう。面倒をお掛けします。」
二人に頭を下げて車に乗ると総合病院の方向へと走って行った。
「うわ、可愛い！べろべろばー！」
「小さいな、何ヵ月だ？」
「産まれてまだ1ヶ月経ってないと思う。早く家に帰らないと風邪でも引かせたら困る！」
ベビー用品が沢山入ったカバンを剛は肩に掛け、また「可愛い。」と微笑んだ。
「いくら見てても飽きないね、本当に可愛い。」
ソファにバスタオルを敷き、その上で気持ち良さそうに眠る赤ちゃん。
「で、奥さんたちは大丈夫なのか？」
「うん、風邪だったらしいんだけど、奥さんはまだ赤ちゃん産んだばかりで体力落ちてるから点滴してるんだって。」
「そうか、大事にならなくて良かったな。」
赤ちゃんの手にそっと触れ、口元を緩ませて源は言った。
「ただいま〜、弁当お待たせ〜！」
「ありがとう。ごめんね、夕飯作れなくて。」
「これも可愛い赤ちゃんの為だもんね〜。苦になんない。」
剛の手から弁当を受け取り、テーブルに並べる。
本当は赤ちゃんを預かったからじゃ…ないんだけど…。
多少の後ろめたさを感じていると赤ちゃんがふぇっと泣き出し、慌てて側に駆け寄った。
「みっ、ミルクかな！？」
「おむつじゃないの〜？」
「A、替えれるのか？」
「…多分…。」
久美子ちゃんの所に息子ちゃんが産まれた時…何度かおむつを替えた経験はある。
でも…こんなに小さくて折れちゃいそうな足…うわぁ、替えるの怖い！
恐る恐るベビードレスを捲り、おむつを開けると火が点いたように泣き出してしまった。
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作者名：fugurifurifuri0 | 作成日時：2020年12月25日 15時
