甘い…生活？２ (ページ12)

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12話目ページ12

「保険証は持ったのか？」

「うん、持った、」

「おくすり手帳は～？」

「持ったよ。」

「着いて行かなくて「ん、もう！大丈夫だから！」」

病院に行こうと決めた朝。

二人は交互にあれは？これは？攻撃。

心配してくれてるのはわかってるけど、子供じゃないんだから…。

「病院から会社に行って、今日は会議があるから遅くなる予定。」

カバンを肩に掛け、二人にハグをして家を出た。

「こちらの問診票に記入お願いします。」

渡された問診票の項目に妊娠に関する問いがあって体が強張ってくる。

…だ、大丈夫、ストレスだから！大丈夫！

震える手で記入し終わり、受付の人に手渡した。

診察室に呼ばれ、私の問診票に目を通した先生はふん…と頷く。

「まずは…尿検査からしましょうか？」

「え、私、何処か悪い「それを今から見るんですよ。心配しないで。」」

看護師さんにトイレに案内され、教えられた通りに採尿をした。

「お呼びしますのでこちらでお待ち下さい。」

「…はい。」

また待合室の椅子に腰を下ろし、長い待ち時間を落ち着かない気持ちで待つ。

…会議に間に合うかな？電話入れとこうかな。

スマホを手に取り、受付に行こうとした時、診察室に呼ばれた。

「おめでた…ですね。」

「おめでた…って、つまり「ご懐妊です。」」

ご懐妊って事は…妊娠してるって事？

思わずお腹に手を当て「嘘…。」と眉を潜める。

「恐らく体の不調は妊娠によるホルモンバランスの…」

色々と説明してくれる先生の話は全く頭に入らず、気付けば会計を済ませて病院前に立っていた。

…赤ちゃん、出来ちゃった。久美子ちゃん、怒るんだろうな。二人はどんな反応するんだろう。

とても仕事が出来る精神状態ではないと思った私は頼み込んで休みを貰い、家のソファに寝転んでいる。

お腹を撫でてはため息をつき、「素直に喜べなくてごめんね。」と謝った。

何もする気が起きなくて、ごろごろしているうちに気付けば二人が帰ってくる時間。

「あ、ご飯…！」

慌ててキッチンに行き、冷蔵庫から材料を出して調理を始める。

…気持ち…悪いな。

今朝までは何とも無かった臭いが鼻について堪らない。

まるで熱があると気付いた途端に体が辛くなるみたいに悪阻らしきものが突然始まった。

まだ本当に小さい、小さい赤ちゃんが《ここに居るよ。》と言ってきてるように感じる。

「あ、ダメだ、無理…。」

調理を中断し、ラグに座ってソファに突っ伏した。