2話目 ページ2
「…緊張して寝不足〜。」
あれから何の進展もない日々が続いていて、今日か明日かと一人相撲状態の私。
昼休みに屋上で昼食を食べながら大きな欠伸をする。
〜♪
「あ、剛からだ。」
お昼に電話なんて珍しいなと通話をタップすると覇気の無い声が聞こえてきた。
「ーA、いつ休み?」
「え、休み?えっと明日が半休で明後日が休みかな。」
「ー次は?」
「次?ちょっと待って。」
手提げカバンから手帳を出して確認して伝える。
「ーわかった。じゃ「え、休みを聞きたかっただけ?」」
「ーうん、ちょっとあんのよ、これが。」
「ちょっとって何「あ、切るね!」」
…休みなら夜でも聞けるのに変な剛。
全くもって不可解な内容の電話を切り、首を傾げた。
「旅行にでも…行くか?」
夜、皆で寛いでいると源が私の肩を抱いてくる。
「りょ、旅行?またどうして?」
「行きたくない?美味しいもの食べたり、露天風呂とかさ〜。」
剛は私の顔を覗き込んで誘ってきた。
「何でいきなり旅行なの?行きたくない訳じゃないよ?」
二人は顔を見合わせ、意味深な表情…。
「何?言ってよ?」
「まぁ…その…思い出作りというか…。」
「思い出っ!?」
珍しくしどろもどろな源は額に手を当てて首を振った。
「ね、剛、思い出って何?何の為の思い出作りなの?」
「あ、うーん、何て言えば良いのかなぁ?」
こちらも頼りないものの言い方で思わずイラッとしてしまう。
「旅行…誘ってくれるんなら行くけど、二人共何か変だよ。納得いくように話して。」
「怒んないでよ、A…。」
オロオロと所在なさげに手を動かし、剛は「源。」と助けを求めた。
「また俺かよ…。婚前旅行的な感じで考えてた。付き合って初めての旅行だし、今度は泊まりでゆっくりと。」
「泊まりって、二人は休み取れ…あ、剛の電話って?」
あの不可解な電話はこの為の確認だったのかと合点がいった。
「俺と源の休みを合わせたかったのと連休貰いたかったからね。」
「別に普通の話なのにどうして挙動不審になる必要があったの?」
モジモジしないで話してくれたら良いのにおかしな二人…。
「照れ臭かったから…だ。」
「うん、そう。婚前旅行とかって恥ずかしいじゃん?」
「やっぱり何か変か「あ、俺、風呂に入ろ〜。」」
剛は逃げるように離れていき、源はやたらとテレビのチャンネルを変える。
「あ、待って。」
源の手を握ってチャンネルを止め、好きな曲に耳を傾けた。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年12月25日 15時