星野源の奥さん…みたいです。 (ページ3)

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「そう。Aがね、焼きもち焼いたからコレクション減っちゃったよ。」

「私が…焼きもち。…あ、あのポスター。」

部屋の壁に貼られている１枚のポスターに吸い寄せられ、その前に立つ。

私が行くはずだったコンサート。

何を着ていくか悩んで、髪型も悩んで楽しみにしてたのにな。

「そのコンサートで俺とAは出会った。」

「コンサートで…？」

「うん。打ち上げに行こうって仲間と会場を出たらさ、俺の看板を見上げて立ってる子が居て。夜も遅いから早く帰るようにって声を掛けたのが出会い。」

「私は何て言ってましたか？」

「唖然、呆然、言葉が出なくて、手元を見たら俺のグッズ持ってて、やっと出た言葉が「にせ明。」で笑った～。」

ポロロン…とギターを弾き、「何か弾こっか？」と笑いかけてくる。

「良いんですか？」

「今でもAのリクエストを聞いてたまに歌うから。」

「…じゃ…。」

ギターを弾く手元と私を交互に見て笑い、綺麗な歌声が部屋に響く。

目の前に居るのは大好きな星野さんで…私は奥さんで…。

未だに信じられない気持ちでいっぱいだけど、少しずつ受け入れて慣れていかないとな…とため息をついた。

「えっ、一緒に…寝るんですか！？」

「家に居る時はAを抱いて寝るのが日課…お願い！一緒に寝て！」

「むっ、無理です！心臓が破裂しちゃいます！」

「…なら…隣に寝るだけは？」

テイクアウトのお弁当で夕食を摂り、広いお風呂を堪能して出てきたら…とんでもないお願いをされる。

隣に寝るだけと言われても…憧れの人と一緒になんて寝れないし、そもそもそんな経験もないし！

「やっぱ…無理？あ、確かこの頃のAって経験「なっ、無いです！」」

「…だよね。なら我慢するしかないか。」

悲しげに枕を持ち、「客間で寝る。」って肩を落とす。

捨てられた子犬みたいな目で私を見て、キューンって鳴き出しそう。

「まっ、待って…下さい。寝るだけ…抱き締めたりとか無いのなら…隣で寝ます。」

何だか可哀想に見えて、いつもの習慣を変えるのは辛いだろうなと…勇気を出して承諾した。

「何にもしない！絶対…多分しない。」

「た、多分は無しです！」

「わかった、最大限の努力は…する。」

正直、星野さんになら何されても良いって気持ちはあるんだけど、事が終わる前に天国に召されちゃいそうだから…ダメだ。

「…失礼します。」

ベッドの端で一礼し、丁寧に挨拶をして隣に寝転んできた。