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1日も早くAを安心させたい、それが彼氏であり、刑事である俺たちの使命…なんてかっこ良く言われてしまって、ホッとしたような、残念な気もしてしまう。
「あぁぁぁ、早く解決してぇぇぇぇ。」
源は叫んで私に抱きついてきた。
「Aの会社の盗難事件もまだ解決してねぇし、道のり険し過ぎ〜。」
剛は首をコキコキと鳴らして伸びをする。
「ま、頑張って早期解決目指すんで覚悟の方は継続でお願いします。」
ヒラッと敬礼の真似事をしてにっこりと微笑んだ。
「悪い、待ったか?」
仕事帰りに寄り道する事を連絡すると「心配だから。」と源も一緒に行く事に。
「ちょっとね。さ、行こ!」
「本当にこんな所にケーキ屋が?」
寂れた街並み、ちらほらと建っているビルにはこれまた古びたスナックの看板が並んでいる。
「うん、友達から聞いたから間違いないよ。えっと、この裏路地…。」
路地裏を覗き込むと剛が居て、その隣にスラッと背の高い女の人。
その人は親しげに剛に触れ、抱きついたりしていて言葉を失う。
「どうした?道が違うのか…って、剛?」
「か、帰ろ、もうケーキいらな「待て、落ち着け、あれ…は…。」」
「もう良いから、帰ろ。」
浮気とかじゃないのはわかってても、これ以上見てられない。
源は口元に手を当て、眉間にシワを寄せると私を見た。
そして大きな声で「ゴンザレス!」と叫んだ。
「げ、源…?」
女の人は声に反応してキョロキョロと辺りを見回し、源を見付けると嬉しそうに駆け寄ってくる。
「源!源じゃない!久しぶりね!」
「抱きつくな、気持ち悪い!」
「あら、こちらの可愛いお嬢さんは?こんばんは。」
…え?男の人…?
綺麗な容姿とは裏腹に野太い男性の声に戸惑った。
「こん…ばんは。」
「あ、源、A〜。二人お揃いでどうしたの?」
「お前こそ何をしてるんだ。直帰したもんだと「私ね、お店出したの。知り合いの伝で剛に連絡とってもらっただけよ。」」
剛はうんうんと頷いて苦笑いを浮かべる。
「立ち話もなんだからお店に来て?開店前だから誰も居ないし。」
二人は少し面倒そうな表情をして顔を見合わせ、ため息をついた。
「お嬢さんもどうぞ。誰も取って喰ったりしないわよ〜。」
私は状況がよくわからないまま、3人の後をついて歩く。
案内されたお店はカウンターだけのこじんまりとした店内で、私を挟んで二人は腰を下ろした。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年9月9日 15時