38話目 ページ38
「な、私…変な顔…してた?」
「うん、すっごいニヤけてた!」
「嘘…恥ずかしい。」
結婚という言葉に驚いたものの、やっぱり嬉しくて。でもこの先、結婚ってどうなるのかって気持ちもあって…。
「…明後日。」
「明後日って…?源?」
「明後日は俺が非番、剛も昼までだったはずだ。明後日、指輪…買いに行くか?Aは日曜で休みだろう?」
「あ、それなら○○デパートが良いって前に後輩が…。」
二人はあれこれと相談をし始め、私は黙って話に耳を傾けているだけ。
顔にかかった前髪をかきあげる剛、時々キュッと眉間にシワを寄せる源。
そんな横顔を見ながら「…好き。」と小声で呟いた。
「好きなのを選べ。」
「好きなのって…。」
「Aが気に入ったデザインじゃないと。どれでも良いよ。」
選べって…どれでもって…。
目の前に並んでるのは…結婚指輪じゃないの、これ!?
確かにお揃いだけど、これは…ちょっと。
「お客様、何かお探しでしょうか?」
「あ、その「えっと、ペアリングを買いに来たんですけど。」」
「あ、はい。こちらは結婚指輪になりますが…。」
「自分と彼女とこいつ、然り気無く揃いになる感じの指輪でお願いします。」
「3人で…お揃いになさると…いう事で宜しいでしょうか?」
「「はい。」」
店員さんは頭を下げ、お店の奥に入っていった。
「え、源と剛もお揃いに…するの?」
「俺と源、それぞれ別のペアにすると2本重ね付けになんのは邪魔かなってなったんだよね。」
「不本意ながら仕方なくってとこだな。」
「お待たせいたしました。こちらは…」
店員さんの説明を聞きながら、私の好きなデザインを選ばせてもらった。
シンプルな何の装飾もないシルバーリングの裏には3人の誕生石(本来は2個のスペースに特注で3個並べてもらった…)。
「もっと凝ったデザインを選ぶかと思ったのに。」
「シンプルな方がどんな服装にも似合うと思うから…常に付けていられるかなって。」
「俺らはAが気に入ったものなら喜んで付けるけどね。」
剛は私に微笑みかけてきて、「年貢の納め時〜。」と笑う。
「年貢の納め時ってよりも、納めさせて下さいって感じだけどな。」
私に両手を合わせて源はニヤッとした。
「わ、私だって真剣にお付き合いしてるけど、年貢はまだ…。」
「あ、顔赤い〜。」
「真っ赤だぞ。」
そう言って代わる代わる頭を撫でてくる。
二人の手を振り払い、火照る顔を手でぱたぱたと扇いだ。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年9月9日 15時