37話目 ページ37
「もう…東くんのおしゃべりめ!」
出社すると彼氏が二人なのか?とか警察官なのか?とか色々と聞かれて、その度に「そうだよ。」と返事をする。
何で?とか興味本意に聞かれる事にうんざりして、タバコは吸わないけど人があまり居ない喫煙所に避難してきた。
「…やっぱり端から見ると面白いものなんだろうな〜。」
面白い…か。
自分で言ったくせに何だか物悲しくなってきて肩を落とす。
「早退したい「あれ?タバコ吸ったっけ?」」
顔を上げると北さんがタバコをくわえて立っていて、火をつけながら隣に腰を下ろしてきた。
「す、吸わないですけど…。」
「じゃあこんな所に居たら臭いだけじゃないの?」
煙がこっちに来ないように手で扇ぎ、吸い込んだ煙は空気清浄機に向かって吐く北さん。
「あ、お気遣いなく。私が好きで居るだけなので。」
「…別に良いんじゃないの?」
「良い?」
「どんな形であれ、幸せの形は人それぞれ。何を聞かれても堂々として毅然としてれば相手は興味なくなるよ。」
くしゃっとタバコを消し、「大丈夫。」と肩を叩いてくる。
「北さん…ありがとう。」
「僕だって夫婦の事でとやかく他人に言われたくないからね。で、彼氏さんってどんな人?カッコ良い?」
「え、あ…はい。カッコ良い…ですよ。」
「良いね、良いね。羨ましいね。ご馳走さま。」
2本目のタバコに火を点け、子供みたいに茶化して笑った。
「あのね、二人が嫌じゃなきゃ…なんだけど。」
夕食を食べながら私はある相談をする。
「え、指輪が欲しい…?」
「うん、お揃いの指輪を「源と一緒になんのはやだ。」」
「俺もAと揃いにするのはむしろ嬉しいが…剛と付き合ってる訳じゃないからな。」
…私とは付き合ってるけど、二人は付き合ってる訳じゃない…。
思わず二人が揃いの指輪をしてる所を想像して笑ってしまった。
「何を笑ってんの?まーた変な事考えてたー?」
「あ、ごめん。何でもない。」
剛は口を尖らせて頷き、「どうしよっか?」と源に話しかける。
「Aに任せる。どんなのが良いのか、パンフレットでも取り寄せるか?」
「パ、パンフレットって、そんな大袈裟な物じゃなくて…。」
「俺は大袈裟に考えたいけどな。例えば結婚前提「け、結婚!?」」
「う〜ん、俺も源に賛成。生半可な気持ちで付き合ってるつもりないし、結婚前提の気持ちはあるよ。」
「何だ、その顔は?」
源に頬を撫でられ、剛は頭をポンポンとしてきた。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年9月9日 15時