32話目 ページ32
「そりゃ…自分の彼女が他の男と居たら気になるよ。」
彼女という言葉に…顔が熱くなってくる。
3人で付き合うって、どう付き合うのかな?
昨日の今日でまだいまいち理解し切れていない私。
「で、誰?」
「あ、会社の先輩だよ。奥さんの実家が近くらしくって。」
「ふーん、妻帯者なら良いか。で、夕食は何にする?」
かごを持ち、鼻唄混じりに歩き出す。
…もしかして今のって心配してくれた?
何となく嬉しくて、背中を見ながらニヤけてしまった。
「え、一緒に…寝るの?」
「付き合ってるんだから不自然ではないだろう?」
洗った食器を拭いてお手伝いしてくれている。
「剛は何て言ってるの?」
「A次第だと言いながら部屋の模様替えを考えてるな。」
「模様…替え…。」
源の…言う通り…付き合ってるんだから不自然じゃないとは思うけど…付き合ったからこそ身の危険を感じるというか…。剛はステップアップ云々って言ってた…し。
「すぐにとは俺は言わないが考えておいてくれ。」
後ろから私を抱き締め、首元に顔を埋めて「好きだ。」と呟くように言った。
「わ、私も…好き。」
「…やべ、Aからの好きは破壊力がヤバい。」
「破壊力って?」
「俺の強靭な理性を…いとも簡単に壊してくる。」
抱き締める腕の力が強くなった次の瞬間、勢いよく私から離れる。
「まぁ…そういう事だから考えておいてくれ。」
「う、うん。」
頷くと頭をポンとして部屋に戻っていった。
「ん、ん〜。」
ソファに座って本を読んでいると前から抱き付いてくる。
「どうしたの、剛?」
「明日さ、ちょっと大変な案件があって…充電させて。」
「じゅ、充電…。」
恋愛漫画とかで聞いた事のある台詞。
まさか現実世界で聞くような経験をするなんて。
剛の胸に顔を押し付けてフフッと微笑む。
「何?可笑しい?」
「何だか恋愛漫画とかの主役になったみたいって思って。」
「恋愛漫画なら…次はこうかな?」
前髪を掻き分けられたと思ったら、剛の唇が…。
「っ、びっくり…した。」
「ここから先はまだお預け…?」
「お預けに決まってんだろ。抜け駆けすんな。」
源が駆け寄ってきて、私を胸に抱き寄せた。
そして頬に…触れるか触れないかくらいの優しいキス。
「ま、待って!な、何でキスするの!?」
「えー、キスくらい許してよ。」
「唇はまだ我慢する。」
「私の心の準備〜!」
叫ぶ私に「「慣れろ。」」と二人は声を揃えて言った。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年9月9日 15時