27話目 ページ27
「…A、大丈夫?暑くない?」
あの後…お風呂から出るタイミングが掴めず、我慢して浸かってたら出た途端にダウン。
「大丈夫、逆上せただけだから。ごめんね。」
「出たいなら出たいって言ってくれれば良かったのに。」
「何か言うのが恥ずかしくて…。先に出るにしても出れないし。」
座布団を枕に横になる私を剛は団扇で扇いでくれていた。
「…泊まるか?」
心配そうに私を見つめていた源がポツリと呟く。
「と、泊まるって「朝飯は食わずに早朝にここを出れば仕事に支障は出ない。」」
「で、でも「そんなフラフラの状態で車に乗るのは辛いはずだ。無理はさせたくない。」」
パタンと襖の閉まる音、剛は「気にすることない。」って微笑むけど…申し訳ない気持ちでいっぱい。
「夕食も部屋食、この部屋に泊まれるようにしてもらった。」
「源、ごめ「3人で川の字で寝るぞ。で、夕食には地酒をつけた。」」
「か、川の「地酒!?やりぃ!」」
私の声は剛の歓声にかき消されてしまった。
前にも3人で寝たことあるから別に良いんだけど…ね。
お酒の話で盛り上がってる二人を見て苦笑いを浮かべる。
「Aはジュースで良いな?」
「え、私はジュースなの?」
「Aって日本酒っていうか…酒飲めるの?」
「少しは飲めるよ。せっかくの地酒なら飲んでみたかったな。」
恐らく私の体調を心配して源は渋い顔。
「…なら少しだけにしとけよ。」
フロントに電話をして追加のお酒を頼んでくれた。
「美味し…え、飲みやすい!」
銘柄は忘れたけど、冷やされた大吟醸酒は爽やかで後口が甘めでとても美味しい。
「うん、美味い。いくらでも飲めそうでヤバイ。」
「二日酔いにならないように気をつけて飲め。」
グビッとガラスのお猪口を空にして剛は「はいはい。」と適当な返事をした。
源は源でひょいひょいと手酌で飲んでいて段々と顔が赤く…。
「私にももう少しちょうだい。」
「酔っ払っても介抱しないぞ?」
「あ、介抱なら俺がしてやるから飲んじゃえ!」
徳利を持って、私のお猪口に注いでくれた。
「ねぇ、Aのファーストキスはいつ?」
「人に聞く前に自分はいつなのよ。」
聞き返すと剛は「高1。」と答える。
「源は?」
「…高2。」
少しぶっきらぼうな声で嫌そうな表情。
「はい、Aは?」
「それって答えなくちゃ「「ダメ!」」」
二人は興味津々という顔で声を揃えて身を乗り出してきた。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年9月9日 15時