甘い…生活？ (ページ26)

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26話目ページ26

「A～、湯加減は～？」

「ん、最高！」

「眺めはどうだ？」

「海がキラキラ光ってる～。」

露天風呂に入っていると二人が交互に話しかけてきて…落ち着いて入ってられない。

「一緒に入っても良い～？」

「いっ、一緒にはダメ「タオル巻けば大丈夫！」」

「それなら見えないから良いだろ？」

「えぇっ！嫌だよ、恥ずかしい！」

入ってこないと思いつつ、念の為にバスタオルを手に取った。

剛が面白がってひょこっと顔を出しそうって思ったから…。

「準備は良いか？開けるぞ。」

「っ、ま、待って！待って！」

ガラガラッと引き戸が開く音、振り替えると腰にタオルを巻いた源。

「お待たせ、A～。」

後から嬉しそうな声を出しながら剛も入ってきた。

「ま、待って…ないよ！一緒に入るの嫌って言ったのに…。」

「一緒に湯に浸かるだけでそんなに嫌がるなよ…。」

「まるで俺らが何かするみたいじゃん、失礼な。」

湯船の湯を掬い、私に掛けて拗ねた顔をする。

「何かされるとは…思ってないけど。」

私はタオルの端を握り、浴槽の隅に移動すると二人はザブザブと入ってきた。

「っ、はぁ～。良い眺めだな。」

「源ちゃん、おじいちゃんみたいな感想。」

「おじいさんで悪かったな。」

源は腰に巻いていたタオルを絞り、頭に乗せてハッとした顔…。

慌てて私の方を見ると「悪い。」とタオルを膝に挟み直した。

「あ、Aの顔赤い！源の源ちゃん見えちゃった？」

「み、見えてないよ！っていうか見てない！」

「…お前の息子も顔出しそうだぞ。」

「え、あ…タオルすげぇ浮くね、見えた～？」

「見えてない、見てない、剛と源のバカ！」

…人を何だと思ってんのよ、もう！

ムッとした私は二人に背中を向けて座ろうとしたら…。

「こっち向いとけ、背中は不味い。」

源に腕を掴まれ、眉間にシワを寄せる。

「何で向こう向いちゃダメなの？」

「その…目の毒だから？」

「疑問系で返さないでよ、剛。」

「前はタオルで隠せても…お尻が丸見えになっちまう…だろ。」

源は言いにくそうにそう言って、ニヤッと笑った。

「俺らはむしろ背中向けてくれるのは歓迎だけどAが可哀想だからね～。」

「っ、剛…タオルッ！！」

ふわぁっと剛の前に浮かんできたタオル…。

「あっ！わっ！Aもタオル！！」

「はっ、早く隠せ！」

「わ、わぁっ！？」

二人は視線を海側に逸らしてくれ、急いでタオルを足の間に挟み込んだ。