甘い…生活？ (ページ44)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:128,664 hit

44話目ページ44

「あ…忘れてた。もう…食べられないね。」

家の前は水で洗い流され、剛の血痕はもう無くて…ぐちゃぐちゃになったケーキの箱が廊下の隅に置かれていた。

「また…いくらでも買ってやるから。」

「当分はケーキ見たくないかな。今日の事を思い出して…怖くなるかも。」

「…そうか。」

苦々しい顔でケーキの箱を持ち、源はドアの鍵を開ける。

「…疲れたね。」

「風呂、沸かしてやるから入って寝ろ。」

「うん、ありがとう。」

源も元気が無くて、会話が全くと言って良いほど進まない。

用意してもらったお風呂に入ってため息をつく。

「…剛が居ないと…静かだな。」

何か食べないと体に悪いからと源がチャーハンを作ってくれ、それを食べ終わると早めに就寝する事にした。

「あ、おはよう。早いね。」

「眠りが浅かったから目が覚めた。」

翌朝、朝食を作っていると目を擦って起きてきた源。

「飯食って、バカを迎えに行くか？」

「バカって…うん、行こう。」

「…電話？こんな朝早くに誰だ？」

源達の部屋から着信を知らせるベルが聞こえてきて、眉をひそめる。

「もしもし…え、あ、わかりました。すぐに向かいます。」

バタバタと身支度を整え、「悪い。」と謝ってきた。

「ちょっと急ぎの用が出来た。剛の迎え、一人で行けるか？」

「大丈夫、行けるよ。気を付けてね。」

「少しだけ充電…。」

そう言って私を腕に抱き、「行ってきます。」と笑う。

「朝飯…帰ってきたら食うから。」

「え、冷めちゃ「俺が食いたいんだよ。」」

「うん、わかった。置いとくね。」

嬉しそうに微笑み、ドアを開けて駆けて行った。

「A～、腹減ったぁ。」

「朝食、食べてないの？出たんでしょ？」

病室に入った途端にお腹を撫でて大騒ぎ。

元気があって良いんだけど、子どもみたいで笑ってしまった。

「味薄いし、量は少ないし、全く足りない。飯食いに行こう～。」

「え、あ、会計とか「もう済ませた。先生からの話も聞いた。後は帰るだけ。」」

「何食うかな？」と呟き、帰ろうとすると私のスマホが鳴り響く。

「あ、警察…からだ。」

「早く出なよ。何か進展があったのかもしれないから。」

通話をタップするとそれは源からで、任意同行で引っ張った人が居るから直ぐに来て欲しい…との事で。

「多分、面通しするんだと思う。急ごう。」

「面…通し？」

「署に行けばわかるよ。」

タクシーを呼び、二人で警察署へと急いだ。