vol.2 ページ3
キッド「…そこに、居るんですね。」
音に気がついたみたいで、足音が遠ざかっていく。
その隙に屋上へ続く扉を勢いよく開ける。
私は少しニヤけながら屋上のふちまで行く。
風でマントがバサバサと音を立てる。
A「人気なんだなー…キッド様は。」
下に出来ている人だかりを見てため息混じりで呟く。
するとすぐ後ろで足音が止まる。
私が振り向くとすぐそこにホンモノ様が立っていた。
A「あれ?ひっかかって無かったんですね。」
私がニヤけながらホンモノ様に問いかける。
ホンモノ様はフッ、と鼻で笑ってから答える。
キッド「あんなものに引っ掛かるとでも思っていたのですか?」
私は笑ってから、満面の笑みで言い返す。
A「そうですね…思って無いです」
ホンモノ様は少し驚いた表情で私を見てくる。
私はポケットからブザーを取りだし、ボタンを押す。
するとたちまちブザーの音が鳴り響く。
そのブザーを勢いよく上に投げ、声を変えて大声で叫ぶ。
A「怪盗キッドがここに居るぞーっ!!」
キッド「…っな!?」
ホンモノ様は後ろに一歩下がり、ひきつった笑顔を浮かべている。
彼がキッドの格好をしていてよかった。
A「ではご機嫌よう!」
私はキッドの格好を脱ぎ捨て一般人になりすますとビルの屋上へと飛びうつる。
屋上に着地した後振り向くとホンモノ様は警察に囲まれて悔しそうな表情で退散して行った。
私は、笑いを抑えつつ暗闇へと消えて行った。
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作者名:柊月@ひじき | 作成日時:2015年5月6日 17時