Another Time

【祐基】また、いつか #3 ページ17

¨5番線に―――¨


ついに時間は訪れる。


電車が到着し、

祐基の顔も見ないで

「じゃあ、またね」


こうでもしないと

泣いてるのに気づかれちゃうから。


電車に乗り込もうとすれば


腕を強く引かれて、

後ろから抱きしめられる。


「っ、ゆ…き」

必死にこらえていた涙は

止めどなく溢れてくる。


祐基も鼻をすすっているのがわかった。

『A、また同じこと言っちゃうけど

一緒に頑張ろう


必ず迎えにいく』


「…え」

その言葉の意味が知りたくて

後ろを振り向けば優しいキス。


『だから、待ってて』



私の目を真っ直ぐ見て


綺麗な笑顔を向ける祐基は



世界一かっこよかった。



「うん、行ってきます」

彼の笑顔に答えるように

私も精一杯笑って電車に乗る。



ゆっくり扉は閉まり、

ゆっくり動き出す。


窓越しのあなたは

あまりにも切なくて


姿が見えなくなる頃には

その場に座り込んで泣いてしまった。


決めたんだ。


祐基のことで泣くのは今日で最後にしよう。

そうじゃないと

祐基も悲しくなってしまうから。


だけどね、



迎えにきてくれたときは

我慢した分、

いっぱい泣いてやるんだから。

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