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【稜雅】悲密 #3 ページ12

_________

気がつけば

両手をおもいっきり締め付けられ、
床に押し倒されていた。


何が起きているのかわからない。

でもただ1つわかるとしたら



このままじゃ殺される。



「い…いや!離して!」


私は必死に声を上げるが
彼の耳には届かない。

ゆっくりと首筋に喰らいつこうとしている。

どうしたらいい?

どうしたら止められる?



回らない頭で必死に考えて出た答えは


「稜雅!!」


彼の名前を呼ぶことしか思いつかなかった。

つんざくような
悲鳴にも似た私の叫びは

彼の動きを止めた。

そしてそのまま気を失ったのか
私の身体に倒れこむ。



とにかく早く

ここから逃げなきゃ。

「っ…」

そう思い、
彼を退かそうと必死になるが

いくら細いとは言え、
男の人から逃れるのは難しい。


やっとのことで彼から逃れたが
足がすくんで動けない。

両手首には痛々しい痕が残る。

肩で呼吸をしながら
何が起きたのかを考える。

何もわからないのは最初からわかりきっていたけど

そうでもしないとおかしくなってしまいそうで。


動かない身体を引きずって
そっと彼に寄り添ってみる。


「りょ…が…?」

床に突っ伏したまま返事ない。


「…ねぇ、起きて?」


胸の奥から込み上げる何かが

私の視界を滲ませる。


「いやだよ…死んじゃやだよ…」

冷たくなった彼の手に自分の手を添えたと同時に

不意に零れた涙が彼の顔を掠める。


『……A…?』

今にも消えてしまいそうな声が
私を呼ぶ。

「稜雅…」

『A逃げて…
じゃないと俺…Aのこと…』

「いや…死んだらいや…」

想いが溢れて止まらない。

「私の血…全部稜雅にあげるから」

『でもそんなことし…』

「大丈夫だよ



だって私、死なないから」


彼の言葉を遮る。

「稜雅気付いてたんでしょ?
私が人間じゃないって」

『……』

「それにね」


今までずっと

言えなかった言葉


あなたの名前を呼べなかった理由。

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ぐれまろ - ありがとうございます。待ってます!! (2016年3月29日 22時) (レス) id: 30fbe60661 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぐれまろさん» わかりました!遅くなってしまうと思います…申し訳ないです(>_<)気長に待って頂けると幸いです(>_<) (2016年3月29日 1時) (レス) id: 71cb27a5b7 (このIDを非表示/違反報告)
ぐれまろ - すけさんは「全部」、やでさんは「この気持ちは」がいいです。お願いします! (2016年3月24日 19時) (レス) id: a7a2e7053d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぐれまろさん» コメントありがとうございます、了解しました!どのお話のアナザーがいいでしょうか?ご希望があればぜひお願いします! (2016年3月23日 4時) (レス) id: 6df3cc253a (このIDを非表示/違反報告)
ぐれまろ - 最高です! すけさんとやでさんのアナザー見たいです。時間あったらお願いします!! (2016年3月21日 1時) (レス) id: a7a2e7053d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年5月11日 22時

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