シャイでいい - 1 ページ23
「お姉ちゃんと赤井さんが付き合えばいいのに」
赤井がマスタングのハンドルを握っていた時、助手席に座るアリが突然そんなことを言った。
普通の男ならその言葉に驚くものだが、どうしてそんなことを言ったのか気になってしまうのが赤井である。
「なぜ」
「似てるから」
その『似てる』がどんな意味なのか、赤井には全く理解できなかった...のは数秒間の話で、よくよく考えてみると、彼女と自分には類似点が多くあるように思え始めた。
「まあ、でもお互い不器用だし口下手だからうまくいかないかぁ」
アリの言葉はもしかしたら、自分への悪口なのか。
赤井は一瞬考え込んでしまったが、そこは自分の欠点として真摯に受け止めることにした。
どうせ、不器用で口下手さ...と。
そして、大通りで右折するのと同時に話の方向性も90度捻じ曲げた。
「あの女、放っておいたら戦場へ戻るぞ」
警告でも言い渡すかのように、しっかりとした口調を赤井は窓の外を流れゆく街並みに沿わせる。
「ヤツの選択に口は出さないが、家族としては意見をするべきじゃないのか？」
アリと視線は合わせないが、白鮫姉妹と向き合う形で赤井の口から出た助言。
それに対し、アリは苦い笑みを浮かべるのであった。
「前に、お姉ちゃんの心はまだ戦場に置き去りだって言ったでしょ。こういう事態は私や両親も予測してた」
「いいのか？それで…もしかしたら命を落とすかもしれないんだぞ」
戦場を知らない家族と、戦場を駆け抜けたA。
そこにどんな溝があるのか、本当の戦場を知らない赤井には理解を超える部分があったが、あの女は絶対に放っておいたら戦場へ戻るという自信はあった。
これまで何人もの人間と顔を合わせてきたが、あの手の人間は必ず自分の居場所へ帰るものなのだと、経験が述べていたのだ。
そして、アリも彼女の妹だ。あの女がいつか戦場へ戻るということはなんとなく、理解しているのだろう。
妙に落ち着いた表情で、深呼吸をひとつするのであった。
「お姉ちゃんがちゃんとこの国に命を持って帰ってこれるように、赤井さんにはお姉ちゃんの二番目になってほしい」
「2番目？」
「ケネスの次ってこと。ただの友達だっていいから...心の支えになってあげてほしいの」
そして、少しふざけたような表情で突飛ょ唖のないことを言う。
「...ただの友達なんかじゃないさ、喫煙仲間だ」
「悪いお友達ね」
「ああ」
「そんなことよりも、白鮫の復帰の話を知っていたんだな」
「本人よりも先に、実家に本部から話が来ていたから」
「...そうか」
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ｉ(プロフ) - 完結おめでとうございます！シノユズさんが創り出すユーモアがありそれでいて繊細な世界がとても好きです。今まで素敵な作品をありがとうございました！これからもオムニバス作品も応援しています！ (2018年11月16日 23時) (
レス) id: 4ee63399c0 (このIDを非表示/違反報告)
Ramu(プロフ) - お疲れ様でした！シノユズさんの作品、シノユズさん本人、本当に大好きです！これからも陰ながら応援してます。 (2018年11月15日 22時) (レス) id: a6556beed0 (このIDを非表示/違反報告)
nyaaaaaaa(プロフ) - 素敵な作品を有難うございました(^^)SNYZさんのカッコいいようで繊細で優しい表現が大好きです。特に09が好きだったので少し寂しいですが…(;o;)もしいつかまた機会があれば続きを書いて頂けたらなぁなんて…(*^^*)(無茶ぶりすみません苦笑)今後も応援させて頂きます！ (2018年11月14日 0時) (レス) id: 41b196ef5e (このIDを非表示/違反報告)
SNYZ(プロフ) - Chi-Roさん» 初期の作品から...ありがとうございます！自分の世界観を気に入っていただけて、非常に嬉しいです...！応援にお応え出来るよう精進してまいりますね！ (2018年10月10日 10時) (レス) id: 87eaa377ed (このIDを非表示/違反報告)
Chi-Ro(プロフ) - シノユズさん» 中学の時にMINT GREENでシノユズさんのファンになってからずっと読み続けています。他にはないしっとりと心に溶け込むシノユズさんの世界観が大好きです。これからも応援してます！ (2018年10月8日 21時) (レス) id: 635f713535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SNYZ
| 作者ホームページ：https://twitter.com/nnn_zcn
作成日時：2018年7月31日 0時
