◆盲目の歌姫9 ページ7
明日、いよいよ待ちに待った海灯祭当日。翌朝から作業が少しあるため、早めに床に着いていた鍾離は最近の彼女の様子を思い浮かべていた
彼女と出会って今と比べると、この短期間でかなり頼もしくなった。この成長は早いくらいだ…
あれから記憶は戻る事も、思い出そうともしていない。嫌な記憶が大部分なら思い出さなくても良い…
彼女の本能がそう決めたのなら、それに従えば良い…
今の彼女は楽しそうだからな…明日無事成功する事を
俺はただ祈ろう…
…
ん?
自室の部屋の外から彼女の気配を察した…
ノックも無い…ただそこで立っている…
迷っているのか?
ガチャゴンッ『あぅっ』
「Σすっ…すまんっそっそんな近くに居るとは思ってなくてな…大丈夫か?」
『ううんっ大丈夫…私が悪いの…こんな夜更けに…起こしちゃったかな?ごめん』
彼女から訪ねて来る事が珍しく、早る気持ちから勢い良く開けてしまった…
おでこを摩りながら謝る彼女の顔に傷がないか確認すると、中に入れる
「どうしたのだ?眠れぬのか?」
『今日…一緒に寝ても良い?』
「ぐっ…」
緊張から眠れないのだろう…不安気な顔で下を向いている
戸の前でも恐らく同じようにしていたのだろうな…
寝ていたら悪いと思いつつ…どうしようも出来ない不安と葛藤していたのが様子で分かる。
しかし、男女が同じベットで寝るのも些か…
『……今日…だけで良いので…』しおしお
「俺は別に良いのだが、胡堂主の所は行ったのか?」
『声かけたんだけど起きなかった』
「なら、仕方ないな?こちらへおいで…共に寝よう」
『本当!』パァアア
パッと明るくなると俺より先にベットへと潜ると、へへへと普段の彼女の嬉しそうな笑顔で笑う。
『へへっ誰かと寝るの初めて』
「俺も久しくないな」
モゾモゾと俺の胸元まで寄ってくるとギュと鼻を押し当てる
『鍾離さんの匂い落ち着く』
「そうか…俺も君の香りは安心する」
『ありがとう鍾離さん…あったかい』
そう言うと直ぐ規則正しい呼吸音が聞こえくる
少し早い心音に気付く事もなく眠りについた彼女に
優しく口付けをすると軽く抱き寄せ自身も眠りに着く
「おやすみA」
君にとって安心出来る居場所が…俺でありますように…
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作者名:紺翠 | 作成日時:2023年2月17日 7時