◆盲目の歌姫6 ページ4
『はぃ…』プルプル
「それはひどい事しちゃったわ…ごめんなさいね？」
話している間に胡桃の採寸も終わったようだ
彼女は申し訳無さそうに、また今度お詫びをと本当に直ぐ帰って行った
「Aすまない…触れられるのは嫌だったのだな」
『他人の人だったから…鍾離さんや胡桃とか、仲良しな人は良いの…』
「それは嬉しい事言ってくれるね♪」
ギュッと擦り寄ってくる彼女の頭を撫でてやると、俺から離れ堂主に抱きつく
『う〜』スリィ
「よしよーし嫌だったねぇ♪」
『鍾離さん助けてくれなかった』くすん
「Σす…すまないっ…」
「あらら〜鍾離さん嫌われちゃったね」
「す…すまないA」
『…ふふっ』
「あはは♪笑わないでよ」
『鍾離さんでも慌てるんだね』
「……んっ…俺も人だからな」
君だからこそ焦るのだと言う事は黙っておこう…
「でも衣装があるの楽しみだね♪」
『何か…緊張してきた…』
「あはは早すぎるよ♪あと数日あるんだしリラックスしよ♪美味し物でも食べてさ？」
『私そんなに食いしん坊じゃないもんっ』
「どう見ても食いしん坊でしょ」
「ふはっ」
最近笑いのツボが浅いなと思ってきてはいたが
彼女の言動と行動による物だと今改めて思った…
───────…
それからまた数日が過ぎ、海灯祭の準備で人々は慌ただしく賑やかになっていた
『今更だけど、私初めての海灯祭なのに出る側で良いのかな？』
「そうか？さほど気にするような事でも無いだろう？」
今日は特にする業務もなく二人で散歩がてら街を歩いていた。やはり少し不安な部分もあるのだろう…声のトーンが下がっている
『璃月の…この街の一員になれたかな？』
認めてもらえてる…だろうか？
「当然だ…それ以前に、璃月の民とか関係ない。己の信じる道を歩けば良い。人を比べる必要はない」
『分かった』
「Aちゃん！聞いたよ！舞台に立つんだって？必ず見に行くよ！」
『あ、ありがとうございます』
カチンと固まる彼女…
彼女が来てだいぶ経つが、まだ慣れない部分もあるようだ
それでも一歩踏み出そうとしている彼女を立派だと思う
しかし、日数も後二日後だが…心配だな…
あっという間に夜は耽って行った
さぁ開幕のカウントダウンを始めよう───────
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作者名：紺翠 | 作成日時：2023年2月17日 7時
