◆過労4 ページ21
「口を開けろ」
『……』
目が覚めると翌朝になっていた…
呆けてしまう頭で考えたが、昨日の事をあまり良く覚えていない…
熱は相変わらず下がってはいないが、不思議と昨日よりは冴えている…
気持ちが悪く洗面台にふらつく足で向かい、顔や歯を磨いた後にまた廊下で倒れていたらしい…
で、この通り少し怒っている彼に介抱されている…
『……ご…ごめんなさい』
「はぁ…A。何故頼らないのだ？具合が悪い時は無理をするなとあれ程言っているのに…心臓に悪い」
だって床冷たくて気持ちよかったんだもん…
とは言えず…
『す…すいませんでした』
「次は薬だ…」
『……苦いの…嫌』
「駄々を捏ねるな…白朮殿が調合した良く効く薬だ」
『頭では…分かってるよぉ…』しおしお
「ちゃんと飲むまで俺はここから離れん」
怒っているせいか…普段優しい彼の口から厳しめのお言葉が出る。座っているとは言え腕を組み見下ろされるのは中々の威圧感があった…
『…っ』
昨日飲んだ時に強烈な苦味と渋味があった事は覚えていた…
うぅ…これ毎回飲むのしんどいな…
出来るなら食前に飲みたい…後味が暫く残る…
でも鍾離さん怒ってるし……
『うぅ……』
「…なら、俺が飲ませてやろう」ガタッ
『へ？』
しんどそうに薬を持ち、飲み渋る彼女からパッと取り上げるとそれを自身の口に含む
突然の行動に理解が追いつかないでいると頭を逃げられない様にガッチリと固定された
驚き硬直する身体を無視して彼の口から流し込まれる
『⁈⁈…っんぅ……んん』
「…」
自分のタイミングとは違い、強制的に流し込まれた薬を飲み干すと呼吸と同時に咽せてしまった
『ケッ…ケホッ！！ケホッ⁈』ドッドッ
「た…確かに普段より苦いな」
少し飲んでしまった…
『変な……とこにっ…ケホッ』
彼女背中を軽く叩きながら、少しやり過ぎてしまったか？と反省する彼
『ううぅう苦い〜〜』ぽろぽろ
「…う……」
余りの苦味に涙が出てくる。
心も弱ってきている彼女に俺は何をしている…
冷静になると自分の欲を制御出来ていないと自覚した
「す…すまない…驚かせてしまったな
次は薬の口直しとして何か用意しておこう」
『夕暮れの実のジュースがいい…』ぐしゅ
「分かった…手配しておく」
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作者名：紺翠 | 作成日時：2023年2月17日 7時
