◆異界の神◆二章【原神】

◇人目5 ページ16

《鍾離side》



彼女が遅い……

普段ならとっくに帰って来ている…


「今日A遅いねぇ？」


「遅くなる時は前もって言付けてから出ているからな…真面目な彼女が珍しい…堂主、ちょっと見てこよう」

「私も今日何も聞いてないしね〜…じゃあちょっと頼める？」

「あぁ、探してくる」


外に出ると璃月港を中心に彼女の気配を探る…
すると、いつもの稽古の場所から然程離れて居なかった
彼女は帰り道必ずこの道を通る


そこに居ると分かると早速彼女が居る場所へと足を向けた


あぁ、稽古帰りか…疲れて寝てしまったか？


彼女ならあり得る…休憩中うっかり寝過ごしてしまったと
前にもあったからな…そこのルートならこっちから向かうか…


彼女が居る場所まで後数メールと言った所か？

そう思い彼女が居るであろう方向へと顔を向けると




驚く出来事が目に入ってしまった






『んっ⁈…ぅ』

「どうだい？振り解いてみなよ？出来るかい？」

『んんっ…！んぅー！』




気付いたら手を出してしまっていた




「何をしている」



沸々と何かが込み上げてくる


少し落ちつかなければ…



あれから違うのだと弁明してきたが、彼の事だ…上手く躱そうとするだろう…

だが、彼女も彼を庇っている事から本当に誤解なのだと…
慌てる彼女の様子から信用する事にした


他でもない彼女が言うのだからな…


しかし、彼と別れてから
どうも自身の感情が冷静ではない…






『…せん…せぇ』



彼女のか細い声が後ろから聞こえた…
いかんっ考えに耽っていた…


振り向くと彼女がボロボロと泣いている…


「⁈」

しまった……あんな事をされたんだ怖くない筈がない…



「す…すまな『ごめんなさい』



『先生ぇ……ひっ……嫌いに…ならないで』





違う…彼の行為に怯えていたのではない…





俺が何も話さないから
俺が怒っていると……勘違いしている

これは誤解を解いてやらないとっ…


「俺が君を嫌いになる筈がないだろ？不安にさせてしまってすまなかった…怒っている訳ではないんだ…」


『……ぐしゅ』


「すまなかった…直ぐ迎えに行ってやれなくて悪かった」


落ち着かせるように彼女を抱きしめ涙を拭ってやる。

彼女から伝わる心音に
俺が余程恐ろしかったのだと分かった


嫌われたのではないかと…

思ったのだな？

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