【小説】転生者達の高校ライフ (ページ10)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:7,668 hit

○10話〈管理人〉ページ10

｢いよいよですね～。｣

日めくりカレンダーをめくり、そう呟く。
明日は陽が働く寮の生徒達が”私立花見川学園”へ通い始める日。

｢ですが、3年生にはE組が無いんですよねぇ。｣

この学校は2年前に開校し、3年生だけ1クラス分人数が少ない。今年の3年生は、この高校を初めて卒業する。

｢今年だけ編入してくれる子がいたらなぁ～、20人。…いやいや、普通有り得ないですね。｣

…この言葉を発した瞬間、何か違和感を感じた。まず、身体から見えない何かが飛び出た気がした。そして外に突然20人の気配を感じ始めた。

｢まさか…。｣

恐る恐るカーテンを開く。窓から見えたのは20人の異常な子達。特に髪の色。

｢またやったか…。｣

寮の管理人、神代陽には”何故か”生まれつき能力がある。それは｢何処かの世界の人をこの世界へ転生させる能力｣である。気付かないうちに能力を使ってしまう悪い癖があるのだ。

この能力のメリットはこの世界でどのような人物か”設定”出来ること。そのお陰で、転生されてしまった人に目的が出来る。

今回は多分｢3年E組の編入生｣という設定だろう。｢本来は居ない｣のに、彼等に関係する事になる全ての人の認識に｢イレギュラーな存在が居る｣事になる。

担当はきっと神城先生(バーソロミュー)のはず。彼にはもし転生者が来たらいつでも担当出来るように準備してあった。

というか一気に20人編入してくるって事は相当他の人から注目を集めるはず…。能力は人前で使わないようにと念を押して話さなければ。

｢って、こんな事考えてる場合では無いですね！今すぐ外に出ないと…。きっと皆さん混乱しているはず…！｣

能力。それはこの世界に生まれた人間には絶対にない。それなのにどうして僕はこんな能力を…僕が”異世界の人”なら分かるけどなぁ。

陽は駆け足で外へ向かった。