月夜の彼方 ページ7
月明かりに満たされた図書室に浮かぶ人影。
「そこにいるのは誰？」
ゆっくり姿を現した。
「あ！ま...まさか幽霊？？」
浮かび上がる姿に言葉を失う...
整った顔に身長が高くて
初めて人見るかのような眼差し。
「誰？名前は？」
と聞いても返事をしない。
《おーい！榊原。帰るぞ。》
「あ...うん。」
「またね...」
3年間この学園に通ってるけど
初めてみる男子だった。
全く喋らないし何を考えてるのかわからないけど
たしかにイケメンだった。
《早く乗れ！》
ヘルメットを投げる。
《お前ンチまで送るからどこ？》
「えっ...」
《右？左？》
「左！！」
《しっかり掴まれ落ちるぞ。》
強く握りしめる。
＊
「今日はありがとう。」
《うん。じゃあな。》
照れ臭そうにこめかみをかく。
誰だろ。あの男子。
気になる...
《あのさ...》
もう家の中に入っていた。
テスト当日早めに学園に向かう。
図書室の鍵を開けて奥の部屋に入る。
机の上にあの時の本が置いてあった。
そして一冊の不思議な柄の表紙のノート。
興味半分で中身をみると、
「これ私！」
中庭でうたた寝してる私の絵や
泣いてる絵。
私の似顔絵の他に風景や花を描いていた。
太陽の日差しが部屋中に入り込む。
「いつからいたの！」
こんな朝っぱらから、
「昨日の。これ私だよね？
まさかストーカー？」
「本当はこの学園の人じゃないの？」
無反応。
「どうしたら話してくれる？」
「ねぇ名前は？」
首を横に振る。
「えっ、名前がないの？」
名札が付いてなかった。
私はこう思った。
やっぱり人間じゃないって。
幽霊か宇宙人かって。
ペラペラとノートをめくる。
「私が名前をつけてあげる。」
「そうだなぁ。レン！君の名前はレン！
私は榊原光。よろしくね。」
蓮の花の一文字をとった。
頷く。
私しか知らない彼。
＊
今日はテスト気合いを入れて教室に入ろうと
ドアを開けると後ろから肩を叩く、
振り向くと
「レン。」
腰を引くくし私の目線に合わせて
レンは私の両手を包み込み目を閉じて祈った。
周りは引き気味だけど。
何が起きたのかはわからない。
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作者名：レモンド | 作成日時：2021年1月5日 16時
