ヴァンパイアたちのお姫様！

２９話 ページ30

〜屋敷〜

屋敷に残った4人の兄弟は各自、思うがままに時間を過ごしていた

ベリルはスポーツ雑誌を読み、ラトは昼食の用意をしていた

そして・・アレクとタイトは同じ部屋にいたのだった

タイトはアレクの部屋に入るなり、いきなりベッドに腰をかけた

タ「ねぇ・・手ぇ・・抜いたでしょ?」

タイトはアレクに背を向けながら話しかけた

アレクの表情は少しも変わらず、いつものように外を眺めていた

アレクはタイトの言葉に何も答えない

無言を貫いていた

タ「・・ホント・・いつからそうなったの?・・逃げることを覚えると永遠に逃げ続ける・・そういうことか・・」

タイトは声を変えた

その声はいつも高い声とは違い、低く、男らしい声だった

アレクは静かにタイトを見た

それに気づいたのかタイトもアレクを見た

ア「何が言いたい・・」

アレクは少しきつい目つきでタイトに問いかけた

いつも笑顔なタイトも笑ってはいなかった

タ「あいつもいない中・・何に怯えてるのかって聞いてんだよ・・いつもいつも逃げやがって・・兄弟やAとの中に入ってこようともしねぇ・・」

タイトは二重の人格を持っている

ひとつは笑顔でかわいいキャラ

もう一つは黒く・・静かな怒りを胸に秘めているキャラ・・

怒ると発動するようなものがあるようだ

ア「逃げてねぇよ・・」

アレクはそれを言うなり、今度は立ち上がった

ア「ただ・・俺は白を赤にそめたくないだけだ・・」

アレクはそう吐き捨てると、窓を開け、窓から飛び降りた

一人部屋に戻ったベリルは、手をおいていたシーツを思い切りクシャクシャに握り締めた

タ「それが・・逃げてるんだよ・・」

タイトは表情を歪めていたのだった

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