☆∞病院入院中☆24 (ページ8)

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☆忍び寄る影 8≪安田side≫ ページ8

ー病室ー

渋「A、おはよう。」

A「・・・」

安「まだ寝てますね・・・」

渋「少しでええから起きて欲しいな。
A～、おはよう。目ぇ開けれるか？」

A「ﾊｧ・・・ﾝﾝ・・」

安「あっ、起きた～。おはようA(撫」

渋「さすがにまだしんどいか・・・
ちょっともしもしさせてな。」

安「ごめんなぁ、ボタン外すよ。」

A「ﾊｧ・・・ﾊｧ・・・」

渋「そうそう、頑張ってスーハーしてや。」

A「・・ﾊｧ・・・ﾊｧ・・・」

安「上手上手。偉いなぁ、A^^」

渋「よし、ええよ。終わり。
昨日よりはマシかな・・・ちょっと酸素下げようか。」

安「はい。」

ーpipipipipi

渋「あ、鳴った。熱どう？」

安「37.8℃です。」

渋「ちょっと下がってんなぁ。」

安「ですね。良かった・・・」

渋「A～、右手にぎにぎしてみ？
おっ、出来るやん。すごいすごい。」

今日はちゃんと俺らの声に反応してくれた。
って言うても、握り返してくる力は弱々しいけど。

けど確実に昨日よりは良くなってる。
今はそれだけで十分・・・
Aやって、めっちゃ頑張ってんねんから。

．

ーナースステーションー

渋「まだ少し脈が不安定やな。」

安「しんどいでしょうね・・・」

渋「さっき手を握り返してきたときも
”しんどい、助けて” って目ぇしとったわ。」

安「渋谷先生・・・」

渋「出来れば痛いことしたくないけど・・・
数値知りたいから採血頼むわ。」

安「はい。」

昔、渋谷先生が一回だけ言うてた事がある。
医者ってだけで凄い力を持ってる人に思われるけど
ほんまは大したことないって。

目の前に苦しんでる子がおったとして・・・
自分は今まで叩き込んできた知識を医者として絞り出し
いま出来る限りの処置は施しましたって口にする。

結局医者が最後に頼るんは、その子の生命力なんや。
患者に頼られる存在であるはずの医者が
最後は苦しんでる患者に全てを頼ってんねん・・・

それを実感した時、自分が情けなくなるって。

．

今Aは少しずつ回復してるかもしれん。
けど、弱々しく手を握り返された渋谷先生は
そのとき伝わってきた力から汲み取ったんかな。

助けを求めるAに対して
自分はまた、その生命力を信じるしかないって事・・・