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ママ
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( 中島卓也 side )
クリクリとした大きな目は
じわじわと涙によって潤っていき
瞬きをすればすぐに零れ落ちてしまいそうだった。
その目の前で、俺らの “ 元 ” キャプテン 兼 “ 元 ” 選手会長である奨太さんがいるわけで、
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27「 も〜A、泣くなって言ったろ? 」
0「 泣いてません、まだ溢れてませんっ、」
27「 まだって… (笑) 」
「 アウトやろ (笑) 」
0「 卓さんうるさい〜っ 」
「 うおっ、」
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弱々しく飛んで来た腕は
俺の肩を力無く叩き
終いには、完全に泣き始めてしまった。
Aが入って来た頃から既にいた奨太さんは
Aにとっても、かなりお世話になった人。
まぁそろそろだとは思ってたらしいけど
流石に実際そうなると、かなり寂しいみたいで、
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0「 だって、だって、」
27「 なに? 」
0「 だって、ママがいなくなっちゃうんですよ、 」
「 ( ママ … (笑) ) 」
0「 奨太さんには凄くお世話になりましたし
本当に感謝してもしきれないくらいなんです、 」
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入ってすぐにバッテリー担当にされて
右も左もわからずに戸惑っていたAに
真っ先に手を差し伸べたのは奨太さんで
そんな奨太さんに
当たり前だけどAはすぐに懐いて
仲のいい剛や上沢、近ちゃん、慎吾よりも先に
Aと打ち解けたのも奨太さんで。
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27「 俺もね、Aにはたっくさん助けられたよ 」
0「 …… 」
27「 翔平とバッテリー賞取れたのも
全部Aが側で支えてくれてたからで 」
0「 奨太さん … 」
27「 こんな最高のサポーターとお別れなんて
すっごい寂しいけどさ、俺も成長しなきゃ 」
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ずっとAに頼りきりだったから
優しく微笑んでAの頭を撫でる奨太さん。
そのせいで、少し落ち着いていた涙が
またポロポロと溢れて来て
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27「 今までありがとうA 」
0「 奨太さん … っ、」
27「 みんなのことよろしくな 」
0「 はいっ、」
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最後は必ず笑ってお別れって
Aの中での決まりごとらしくて
今だって顔ぐしゃぐしゃにしながら
めっちゃいい笑顔で頷いてるよ。
奨太さん、ありがとうございました
名古屋行っても頑張って下さい。
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27 ( Aの事頼んだよ、卓 )
( うっす、)
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作者名:ポム | 作成日時:2017年7月2日 12時