第9話【silk side】 ページ9
家に帰ったと思ったマサイが戻ってきて携帯を俺に見せてきた。Aだと思わしき人物の後ろ姿。
マサイが得た情報では静岡に居たとか。
静岡という事ははじめ君の家に居た可能性が高い。
朝早くから申し訳ないけど、状況が状況なんで早速電話してみると、眠そうな声が聞こえた。
はじめ「もじもじ…」
ｼﾙｸ「うわ、めっちゃ寝起き…すいません、今いいすか」
はじめ「……良いよ」
急に真面目な声色になって確信した。
Aははじめ君家に居たんだ。
ｼﾙｸ「正直に、教えて下さい。はじめ君家にちゅん、居ましたよね」
その問いに黙ってしまった。
言わないでと言われてるのか、本当に知らないのか。いや、前者だろう。
はじめ君の言葉を待って暫く、やっと返答が来た。
はじめ「…居たよ、数時間前まで」
ｼﾙｸ「やっぱり…！」
はじめ「でも何処へ行ったとかは知らない」
ｼﾙｸ「理由とか、何か言ってませんでした…？」
はじめ「何も。と言うか、聞かなかった。俺が聞いちゃいけない事かなって思ったから」
ｼﾙｸ「そう、ですか」
はじめ「まぁ、ただ、疲れちゃったんだと思うよ」
ｼﾙｸ「疲れた…？」
はじめ「そう。だから俺から少しお願いなんだけど」
ｼﾙｸ「はい」
はじめ「ひとりにしてあげて」
ｼﾙｸ「……」
はじめ「只事じゃない事は分かる。視聴者さんや他のYouTuberさんの声もあるし。でも今はそっとしてあげて」
今のAを見た訳じゃないから、はじめ君が言う事に納得せざるを得なかった。
「ちゅんを探さないで。」
まさか先輩にまでそう言われるとは思わなかった。
はじめ「シルク、」
ｼﾙｸ「はい」
はじめ「これは俺のお節介なんだけど」
ｼﾙｸ「なんすか？」
はじめ「旅が終わったら俺ん家にお土産渡しに寄るように言ってあってさ」
ｼﾙｸ「はい……？」
はじめ「ちゅんからまた連絡あったら、シルクもうちにおいで」
ｼﾙｸ「はじめ君家に？」
はじめ「俺使ってでも良いから、チャンスがあるならちゃんと話聞いてあげて」
ｼﾙｸ「…っ、ありがとうございます！」
はじめ「実は内緒にするって言ったんだけど、俺はメンバー個々じゃなくてFischer'sが好きだから」
最後に「アデュー」とふざけ気味に言って頂いて電話を切った。
Aはもう一度はじめ君の家に寄るから、その時がチャンス。
本当に、本当に良い先輩を持った。
第10話【silk side】→←第8話【masai side】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：憐
| 作成日時：2018年8月18日 1時
