ナナイロの糸 (ページ31)

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第31話【silk side】ページ31

やっと、久し振りにAの感情が見えた気がした。
小学生の頃のAはよく泣いている子だった。
雷は嫌いだし、人と関わるのも苦手だし、何時も俺の後ろをついて回って、俺が居ないとすぐ独りで遊ぶような奴。
大人になって思い出の場所で出会ったあの時から今まで凄い成長したんだなと感じたと同時に、色々な事を忘れてしまったんだなと思った。
誰かに甘える事、感情に任せて泣く事、自分を魅せる事。
そして、仲間(おれたち)が居る意味。

嗚咽が混ざるまで泣いているAの頭を優しく撫でる。
皺が入りそうな程オレンジ色のTシャツを抱き締める姿に、ずっと孤独だったんだと、自分まで心が痛くなった。

ｼﾙｸ「Tシャツ汚れちまうだろ」

『っ、』

ｼﾙｸ「ったく、」

腕を引いて抱き寄せた。
もう独りで誰かの為に頑張らなくていい。

人間、そう簡単に変われる訳ねぇんだよ。
かっこ悪くても良い、自分を殺してまで変わろうとすんな。

『りょう』

ｼﾙｸ「なに」

『お前硬い』

ｼﾙｸ「うるせぇ、離れろ」

ま、こんな奴ですよ、こいつって。