第19話【tyun side】 ページ19
結局、４対１の勝負になって東海がオススメと言うラーメン屋さんに来た。
深夜にも関わらず駐車場は割と埋まっていて、本当に人気なんだと期待を胸に車を降りると、端末から通知音が聞こえて、反射的に画面を見る。
『あ、』
てつや「ん？どした？」
『シルクから電話』
てつや「…出てあげて。普通な会話してあげな」
『…………』
少し悩んで画面を見ていると、てつや達は「先に行ってる」と店に入ってしまった。
一人にされるって事は出ろって事だよな。
これ以上迷惑掛けるのも、もう辞めた方がいい。
寒さの所為か緊張の所為か少し震えた指で通話ボタンをタップした。
『………もしもし、』
ｼﾙｸ「うお！？あー…えっと、俺」
『誰だよ』
ｼﾙｸ「あ？あ、いや、シルク、」
俺も緊張してるけど、向こうも同じように緊張しているのがわかる。
元気な声すら出てこない。
身構えてしまって素っ気ない返事になってしまう。
『何？』
ｼﾙｸ「元気、かなーって」
『普通だよ』
ｼﾙｸ「そっか。声、聞けて良かったわ」
『それだけ？』
ｼﾙｸ「ん？それだけ」
『そう』
ｼﾙｸ「まだ寒いから、風邪引くなよ」
『うん』
ｼﾙｸ「じゃ」
返事をする前に通話は切れた。
てっきり質問責めとか、怒られたりとか、すると思ったのに。
少しぐらい、そんな素振り見せてもいいじゃん。
「帰ってこい」とか言ってくれたって。
『あー…腹減った』
自分が悪いのに何を求めてるんだろう。
気を遣わせてしまった。素直に謝りも出来なかった。
東京ではあまり見られないほど綺麗に見える夜空を見た。
白い息が出てくるのが面白くて、何度も息を吐いた。
この瞬間は、少しでも現実を見たくなかった。
りょう「どう？様子は」
てつや「1分もないうちに電話切ってた」
虫眼鏡「素直じゃないね、お互い」
としみつ「喧嘩した訳でもあるまいし」
てつや「俺がちゅんちゅんみたいに家出したらどうする？」
虫眼鏡「視聴者さんに捕まえてもらう」
りょう「お腹空いたら帰ってくるでしょ」
てつや「俺は犬か」
としみつ「ま、心配にはなるから急に消えたらマジ怒る」
てつや「ははっ、そっか。あー！お腹空いた！」
虫眼鏡「こら、他のお客様に迷惑です」
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作者名：憐
| 作成日時：2018年8月18日 1時
