「枉尺直尋」 ページ11
ホストパロ
_
_きっと私は、何かを犠牲にしてまでのめり込める物が欲しかったんだ。
『あ!ガクくん〜やっと来てくれた』
「ごめんなAちゃん。他の指名入っちゃって」
そう言って隣に座ったガクくんは、私の肩をぐいと抱き寄せる。彼からふわりとお酒や香水の匂いが漂ってきて少しだけほっとした。..僅かに女の子の匂いがするのは納得いかないけど。
『ガクくん何飲む?ジュンヤくんも』
ガクくんが来るまで私の相手をしていてくれたジュンヤくんに声を掛けると、彼は何処か慌てたように私に声を掛ける。
「ごめんね、Aちゃん。俺指名入っちゃったみたいでさ。お酒ありがとうね、それじゃ」
此方こそとお礼を言おうとすると、丁度良くガクくんから話しかけられた。私にとっては大切なのはガクくん一人だけである。ジュンヤくんの事なんてすっかり忘れて彼の方に向くと、ガクくんは満足そうに目を細めた。
「Aちゃん、オレこの酒飲みたいんだけど」
『え、あ、うん!大丈夫だよ』
ガクくんはいつも安いお酒を頼んでくれる。それが私の為か単にそのお酒が好きなのかは分からないけど、前者だったら嬉しいな、なんて。
「Aちゃんは今日何をしたんだ?」
黒服の子が持ってきたお酒を勢いよく煽りながらガクくんが聞いてくる。
『ん〜?今日はね〜、友達と一緒に買い物に行ってね、洋服買ってきた!』
「へぇ〜友達?どんな子なんだ?」
如何にも興味がありそうに聞いてくる彼に少しだけムッとする。他の女の子なんか見ないで欲しいで私だけを見て欲しい、なんて。
『..大学からの友達で、優しい良い子だよ。よく私の相談にも乗ってくれる』
相談って言っても殆ど貴方の話なんだけど。
心に秘めた言葉は外気に触れる事無く私の中に沈んでいく。ガクくんは眉を下げて優しく笑った。
「
『..っいいよ』
彼は宛ら
姿形は万人を惹き付ける美しい物でありながら、甘ったるいその
彼を独占したい、と私は馬鹿なことを思った。
80人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - 蒼空麗さん» お褒めの言葉ありがとうございます…!!こちらこそ読んでいただきありがとうございます!!そう思ってくださったのなら幸いです…泣 (2021年10月11日 15時) (レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空麗(プロフ) - 愛おしさしかないですありがとうございます (2021年10月6日 16時) (レス) @page26 id: ee676be244 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - 狛々さん» 読んでいただきありがとうございます!!本当ですか!?めっちゃ嬉しいです…泣考察要素もありますのでぜひぜひ考察していって頂ければと思います! (2021年10月6日 7時) (レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
狛々(プロフ) - 1話読み進めるごとに一番右の星押してました。この作品を読むだけで頭がよくなった気がします!!!! (2021年10月5日 22時) (レス) id: 0c572bf162 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みそ漬けキュウリで殴る | 作成日時:2021年10月5日 19時