彼女は女子アナ！

第１３話 ページ13

Side:You


中島選手が連れてきてくれたのは、どこか懐かしい趣のあるお店。プロ野球選手だし、どんな豪華なところに行くんだろうとビクビクしていたけど、意外に庶民的でホッとした。



よく通っているお店らしく、メニューも中島選手におまかせしたけど、どれも美味しくて箸が止まらない。そんな私の様子をじーっと見つめる中島選手。しまった！今日一人じゃなかったんだ…。



急に不安に襲われて、恐る恐るこう聞いた。



｢いっぱい食べるコは嫌いですか…？｣


中島｢そんなことないよ。少食ぶるコよりは、中澤ちゃんみたいに美味しそうに食べるコの方が俺は好きだけどね。｣



『好き』という言葉に過剰反応してしまう。もちろんそういう意味で言ったんじゃないのはわかってる。でも今の私にその言葉は毒だ。



ゆっくり食事をして、たくさんお話をしていたらあっという間に深い時間。疲れているのに、中島選手はしっかり私を家まで送り届けてくれた。



｢私がお礼しなきゃならないのに、ごちそうになっちゃって申し訳ないです。｣


中島｢気にしないで。おかげですごく楽しかった。｣


｢私も楽しかったです！｣


中島｢また誘ってもいい？｣


｢私なんかでよかったらいつでも誘ってください。｣


中島｢そっか、よかった。明日も取材来る？｣


｢はい、イチモニ終わりでドーム直行しますよ。｣


中島｢じゃあまた明日ね。今日は本当にありがとう。｣


｢こちらこそありがとうございました！おやすみなさい。｣



車を降りて中島選手に会釈すると、ニコッと笑いながら手を振ってくれた。どうしよう…私今日１日で完全に中島選手を好きになったみたい。｢また誘う｣って言ってくれたよね？社交辞令だとしても期待しちゃうよ…。

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