延長戦第68話 ページ8
Side:Mizuki
ちかと離れて迎える初めての登板日。ブルペンで調整を始めたけど、イマイチ調子が良くない。
去年はブルペンからいい感じで投げられる試合がほとんどだったから、若干の不安に襲われる。思い返せば、調子のいいときはいつもちかがブルペンにいた。ちかの力って偉大だったんだって、離れてみて改めてわかる。
でも離れて家にいるちかは、今僕よりずっと不安なハズ。ちかのために勝つって決めたんだ、弱音を言ってる場合じゃない。
マウンドに立って目を閉じた。胸に手を当てて深呼吸。そしてチェーンに繋いだ指輪を握りしめて、ちかの言葉を思い出す。
「瑞輝くんなら大丈夫だよ!」
堀「よしっ、行ける!」
あれだけブルペンでバラバラだった球が、マウンドに立つと不思議なくらいいいところに行く。ちかと約束した通り、勝ち投手になれた。試合後、すぐちかに電話する。
堀「もしもし、試合見てた?」
ちか「うん、見てたよ。勝ち投手おめでとう!」
堀「ありがとう。今日ね、実はブルペン全然よくなくて、ちょっと不安だったんだよね。でも指輪握ってちかの言葉思い出したら落ち着けた。」
ちか「そうだったんだ…今日試合見ててね、『あ、瑞輝くんが指輪触ってる』って気づいたの。離れてても気持ちは一緒って思ったし、私のこと思い出してくれて嬉しい。」
堀「明日には帰るから、もうちょっとだけ我慢してね。」
ちか「うん、気をつけてね。」
明るい笑顔を見せようと頑張ってたちかだけど、スマホ越しでも目が赤いのがわかった。早く帰ってちかのこと抱き締めてあげたいな。
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作者名:fs15nao | 作成日時:2018年11月4日 12時