愛した彼は、人ではありませんでした。 (ページ48)

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そう話す間も、私はゆっくりとテヒョンに近づいて行った。

『テヒョンは大丈夫。大丈夫よ。』

そういうと、ひらりと身をかわし、距離をとる。

「Aの考えは読めないんだ。前も言ったろ？

……教えて？何を考えているのか。」

不安そうな目をしながらそう聞くテヒョン。

『…怖い。』

私がそういうと、彼は悲しそうにため息をつき、私から距離をとる。

私はそれに反するように彼に近づいた。

『…テヒョンが、私から離れてしまうのが、ね。

……あなたを失うのが怖いの。』

テヒョンの目をじっと見つめながらそういうと、彼は焦がれるような瞳で私をみる。

「…ずっとAを待っていたんだろうな、俺は。」

そう言って私の首元へと手をすべらす。

「ライオンが羊に恋をした。」

あきらめたように力なく笑うテヒョン。

『…まぬけな羊なの。』

「…狂ったライオンさ。」

互いを見つめながら笑う。

私たちは森の中から小さい空き地に移り、話をすることにした。

…もう離れることはできないとお互い悟ったから。

伝説に関する本を読んでいて、気になったことを聞く。

『…渇きがあるときは、目の色が変わる、って見たんだけど、

私基本的に茶色の瞳しか見てないな、って思って。…私の匂いに我慢がきかないかも

って言ってたけど…』

「あぁ、最近の吸血鬼はカラコンつけてるから。」

『…便利な世の中になったのね。』

「うん。目から怪しまれることはなくなったね。むしろつけてなくても色が変わると

カラコン？って言われるくらい。」

『本当の目はどんな色なの？』

そう聞くと、彼はコンタクトを外した。

『……明るい茶色、ね。』

「渇きを感じると青くなるよ。…韓国人は青はまずいないだろ？」

『…そうね。テヒョンならきっと似合っちゃうんだろうけど。』

この容姿に青い目は、違和感なく似合いそう。そう想像しながら言うと、

彼は面白そうに笑った。