愛した彼は、人ではありませんでした。 (ページ44)

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家に帰ると、兄さんの部屋で防犯セットをやたらと持たされ、自室に戻った。

寝る準備をしてから、今日買ってきた本を開く。

『…狼の伝説、載ってる…。』

ジミンに聞いたのと似たような話がそこには書いてあった。

ネットでは冷人族という生物が記されていたが、この本には冷人族は私もよく知る別の

名前で記されていた。

『…吸血鬼。』

特徴は、極めて俊敏で常人にはありえないほどの力を持つ、その身体はとても冷たい。

空腹時は瞳の色が変わる、……太陽の光が苦手である。

聞いたことのある吸血鬼の特徴がそこには記されていた。

フラッシュバックする記憶、”遠くにいたのに急に私の隣に…”、”素手で車をとめた…”

”一瞬触れた指先は氷のように冷たい”、どれも当てはまる。

極めつけは、”晴れた日はキム家はキャンプに行ってしまうのよ”。

決まって良く晴れた日はキム家の兄妹は学校に来なかった。

もし、これが太陽の光が弱点であるから、とすれば…

テヒョンに確かめなければならない。

そう決めた私は、明日に備えて眠りについた。